TrueLoveStory - ドキッ!女だらけの麻雀大会 ≫

書いた人:アルビレオ(2005-11-13)


「ただいま〜」
有森先輩の家に遊びに行っていたるり姉が帰ってきた。
「食事の用意とかがあるから、遅くなるなら電話しろっていつも言ってるだろ」
いつもと同じように文句を言う僕をしばらく黙ってじっと見ていたるり姉は突然、
「あんた、菜由ちゃんと別れなさい」
「ハァ?酔っ払ってんのか?」
「お酒なんか飲んじゃいないわよ。とにかく学校で会っても菜由ちゃんと口をきいちゃダメ。これは命令よ、わかったわね!」
吐き捨てるようにそういうと、さっさと自分の部屋に入ってしまった。
なんだかえらく機嫌が悪そうだけど、いったい何があったんだ?

「るりちゃんったら、そんなことを……」
次の日、学校で有森先輩に昨日の事を聞いてみることにした。その日はるり姉の他に楠瀬さんと神谷さんも遊びに来ていて、なんとなく成り行き上その4人で麻雀をやることになったらしい。
「そういえば僕も頭数合わせでやらされたことありましたね。こっちは初心者とはいえ、先輩もるり姉も強かったですよね」
「まあ昨日は初心者の楠瀬さんもいるから、それなりに手加減して遊ぶことにしていたのよ。でも神谷さんがどんどん上がっちゃって」
ありそうな話だ。
「でも、その程度のことでるり姉はあんなに機嫌が悪かったんですか?」
「途中からるりちゃんも本気になって対抗しようとしたんだけど、単純な見落としで楠瀬さんに振り込んじゃって、それで調子が狂っちゃったみたい。昨日はさっぱりだったわ」
確かにるり姉は簡単なミスをきっかけにどんどん自滅していくことがたまにある。それをやっちまったわけだ。
「それで最後の最後に、神谷さんがるりちゃんから大きいのを上がって終わったの」
鬼だ。
そんなことで僕にまで八つ当たりするるり姉もみっともないが、神谷さんも大人げないぞ。
「しかたないじゃない、あそこで上がっとかないと逆転されたかもしれないんだから」

声のした方を見ると、いつのまにか神谷さんも僕の横で話を聞いていた。
「るり姉にあこがれてるんだろ?勝ってたなら多少は手加減しろよ」
「それはそれ、これはこれよ。るりさんも強いって聞いてたし、いくら尊敬していても勝負事で手加減なんてできないわ。そんなことしたらかえって失礼でしょ」
いや、神谷さんの場合は単に負けず嫌いなだけだと思うぞ。
「でも逆転されそうだったって?一人勝ちしてたんじゃないのか?」
「とんでもない、最初のうちは勝ってたけど途中から有森先輩が猛追してきたの。わたしだってトップが確定していたら、わざわざビリのるりさんから上がったりしないわよ」
「へ?先輩も?」
「なんとか神谷さんの勢いを止めようとしたんだけど、結局るりちゃんが置いてけぼりになっちゃって……最後に私が逆転していれば神谷さんに矛先が向くこともなかったと思うんだけど、届かなかったわ。ごめんなさい」
そう言ってすまなそうな顔をしているが、実はこの人も普段は穏やかに見えるが意外と負けず嫌いなことも僕は知っている。
結局は初心者なのにこの負けず嫌い3人に囲まれてしまった楠瀬さんが一番の被害者じゃないだろうか。

「こらそこっ!話しちゃダメっていったでしょ!」
やばい。るり姉に見つかった。
「さっさと来なさい。通しを教えるから」
「そんな大声出したら神谷さんや有森先輩にもバレバレだぞ」
「あ……えーと、とおし…とうし…そう、投資よ。ネット株で百万えーんってね」
その言い訳、ムチャクチャ苦しいぞ。

オチも苦しくなってしまいました。スミマセン。

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