書いた人:アルビレオ(2005-12-28)
学校から帰る途中、神谷さんの買い物につき合わされた。
「ねえ、これ試着してくるから荷物持っといてよ」
神谷さんが手に持っている服は──ミニスカサンタ!
しかし試着室から出てきた神谷さんは制服のままだった。
「僕には見せてくれないの?」
「んー、やっぱりそれはクリスマスでのお楽しみにしといた方がいいでしょ?」
「それはクリスマスに会ってくれるってこと?」
「あなたのうちのクリスマスなら、おいしいものが食べられそうだしね」
やった!
「それならがんばっておいしいものを用意しとくよ」
そのあとついでに寄った家電売り場で、神谷さんはしきりにiPodを眺めていた。
「んー、ほんとは買うつもりだったけどさっきサンタ服買っちゃったからなぁ……」(チラ)
なんちゅーあからさまな催促。
「えーと、今は持ち合わせがないけどクリスマスまでにはなんとかなるかも」
「本当?ありがとうサンタさん!」
これもミニスカサンタのためだ、トホホ──
クリスマス当日、約束の時間にやってきた神谷さんは普通のコート姿だった。
「あれ?ミニスカサンタは?」
「ああ、この寒い中あの格好で歩けないわよ」
それはそうだけど──かといって服を入れるような荷物を持っている様子もない。
「ああそれからクリスマスプレゼントだけど、忘れないうちに渡しとくわ。はい」
そういってコートのポケットから取り出したのは──都こんぶ。
人にiPod催促しておいて都こんぶ?!
「それじゃるりさんにも挨拶してくるから、用意の方はよろしくね〜」
神谷さんはそれだけ言い残すと、硬直している僕を置いてさっさと二階に上がってしまった。
ミニスカサンタは拝めない上にプレゼントは都こんぶ、猛烈に落ち込んだまま準備を終えて二階にいるふたりを呼んだ。
「メリークリスマス!」「メリークリスマス!」
見ると二人ともミニスカサンタの衣装を着ている。
「あ、あれ?」
「実は当日持ってくるのはめんどうだから、るりさんに預かってもらってたのよ。驚いた?」
「……驚いたよ」
二人とも裾がミニというだけでなく、両肩がむき出しで胸元ギリギリまで開いている。なんかもう、クリスマス万歳だ。
「プレゼントはおねえちゃんと菜由ちゃん共同よ。その分奮発したんだから」
「都こんぶじゃなかったの?」
「あれはフェイントよ。見事にひっかかってくれたわね」
「ほれ、さっさと受け取りなさい」
るり姉が差し出した封筒を受け取る。
「ここで開けていいの?」
「どうぞどうぞ」
中に入っていたのは二人のメッセージ入りのクリスマスカードとスキーツアーのチケットだった。
「予算の都合で近場だけど、冬休みのうちに三人でいきましょ」
「るり姉、神谷さん、ありがとう!」
本当にうれしいよ。
こうして今までで一番楽しめたクリスマスだったけど、神谷さんにはiPodをプレゼントしておいて
るり姉へは目覚まし時計だったせいであとでるり姉からさんざんイヤミを言われるはめになった。
弟クンへのプレゼントを何にするかはかなり悩んだけど、やっぱりこうなったらスキー編も書かなきゃダメ?