Take Me Out to the Green Stadium KOBE

  1. ドラゴンズ落合監督(2003-10-09)
  2. プロ野球球団と親会社との関係(2003-11-04)
  3. 星野伸之(2003-12-14)
  4. 名前ネタ(2004-02-07)
  5. プロ野球・節目の記録(2004-02-29)
  6. イチローの不満(2004-03-09)
  7. ランス(カープ)(2004-03-26)
  8. 開幕第2戦(2004-03-29)
  9. 本拠地開幕戦!(2004-03-31)
  10. サイクルヒット(2004-04-06)
  11. 伊原采配(2004-04-12)
  12. BW打線の凄さ(2004-04-13)
  13. 南海ホークスメモリアルミュージアム(2004-04-18)
  14. 5/5 BW-M 観戦記(2004-05-06)
  15. 近鉄合併問題(2004-06-18)
  16. 誰のためのプロ野球?(2004-07-03)
  17. 渡辺・堤の思惑(2004-07-10)
  18. フレッシュオールスター2004(2004-07-11)
  19. 楽天の捕手とか(2004-11-12)

2003-10-09 ドラゴンズ落合監督

ブレーブスファンとしては伊原監督のことを書きたいところだがネタがない。
で、落合は好きな選手だったけど、監督としてはヤバい理由を書いておこうかなと。

だれかを手本にしようとは思わない。独自のものを作り上げていきます
この言葉も本心だろう。自己流を目指してこそ落合らしい。でもその根底には稲尾から受けた影響が大きいことは間違いない。

古い話だけど、落合は「稲尾信者」だ。稲尾は84-86年にオリオンズの監督を務め、2、2、4位の成績。その間に落合の2年連続三冠王や西村の盗塁王など個人タイトルも獲得している。立派なものだが、86年の4位転落などを理由に解任されている。
稲尾の方針は「放任主義」。プロであるからには練習や調整は自分なりのやり方を見つけて自己責任と自己管理でやっていくべきといった感じ。コーチは教官ではなくアドバイザーやサポート役という考え方。さすがに連携プレーなんかは個人で好き勝手やるわけにはいかないけど。
その結果実績のある村田兆次や落合のような選手はかなり活躍した。でもその一方で仲間意識を大切にする体育会系な考え方の選手には評判が悪かった。その筆頭がミスターロッテ有藤。また口出しできるとこが少なくなって権力を制限されたコーチ陣からもあまり支持されない。こういったことが稲尾解任劇の裏の理由にもなっている。

個人的にはこういった選手の自己管理を尊重するやり方はプロとしてあるべき姿だと思う。
現に稲尾の1、2年目に2位、メジャー流自己管理を持ち込んだバレンタインも2位、権堂ベイスターズが優勝など「放任主義」は立派な結果を残している。
その一方で稲尾3年目4位で解任、権藤の2、3年目3位止まりのように長続きしない。実績のある選手はいいけど、後に続く選手が育たないのだ。
そもそもメジャーでは日本より自己管理が重視され、それなりにうまくいっている背景にはルーキーリーグ、A、AA、AAA、さらに独立リーグまで存在する層の厚さがある。こういった下位リーグではそれなりに「指導」も行なわれているし、その中で自分のやり方を確立して抜きん出た選手がメジャーに這い上がってくる。
日本で同じやり方をしたらあっというまに選手が枯渇してしまうだろう。プロとアマの間に大きな壁があることも日本のプロの層の薄さの一因だ。
そんなわけでベイスターズ権藤博監督は日本一になったとはいえ、個人的にはあまり高く評価していない。あれは前年までの「権藤コーチ」他が育てた戦力が整っていて、珍しく「放任主義」が成功する条件が揃っていたレアケースなので。
もちろん監督としてヘボではないから優勝できたのだとは思うけど、優勝したのは監督としての力より前年までのコーチとしての貢献の方が大きな理由になっている気がする。

落合というと練習嫌いで天才肌のイメージが強いが、オリオンズ時代はかなり練習量が多い方だった。ただコーチのいうことをあまり聞かず自分のやり方にこだわったので練習そのものを嫌っているような印象を持たれてしまった。
「技術的なことで、コーチから教えてもらったことは何一つない」と言い放つ田尾も似たような系統の選手だった。こういう考えの選手は好きだけど、日本では決して主流にはなれない。

さて、落合ドラゴンズは?
選手層自体はそこそこに揃っているように見えるけど体育会系の星野イズムが色濃く残っている体質、落合の考えるような「プロ」の意識を持っている選手は少ない気がする。現役時代の落合の影響なのか山崎はそういうものを持っていた気もするが、すでにいない。いたとしても今さらチームを引っ張る力は残っていないだろう。
立浪、谷繁、野口あたりは自由にやれて結果を残すだろう。また若い福留あたりは落合によってさらに大物化する可能性もある。でもチーム全体を見れば落合流で成果を出すにはもうひとつ底上げが必要な状態ではないだろうか。
「改革」を目指す球団側の思惑からすれば落合は確かにいい刺激になるだろう。でもそれを成功に結び付けるには、まだ条件が揃っていない。

トレードや外国人選手獲得による補強を断り、現有戦力で戦う
ちょっと意外だった。落合流のやり方で全ての選手が成功するわけではないことは本人もわかっているはずだ。そういう選手はトレードに出して活躍の可能性を広げ、一方で落合の考え方に合う人材を獲得した方がお互いのためになる。
まずは選手ひとりひとりを直接見極めてからという考えなのかもしれない。しかしシーズン途中で山田を切った球団がのんびり構えてくれるか不安がある。

たぶん一部の主力はのびのび大活躍、その一方で伸び悩む一軍半がゴロゴロでレギュラーを固められないという状態になると予想。

2003-11-04 プロ野球球団と親会社との関係

今回はいつも以上に憶測に基づいた内容になっているので話半分で受け取ってください。

小久保の移籍は非常にショックだったけど、日本一になったことであの球団が窮地に追い込まれたことは多くの人が予想していたことなので「こういう形で皺寄せが来たか」という衝撃だった。
そこでプロスポーツチームと親会社、スポンサーの関係について表面に現れにくい部分について乏しい知識と推測を基に書いてみます。 「プロスポーツチーム」とわざわざ書いているように野球だけでも日本に限った話でもなく、程度の差はあっても世界中のプロチーム全般に当てはまると考えて差し支えないと思う。
(「親会社とスポンサー」と書くと長くなるし、区別が明確でない場合もあるので以下では単に「親会社」として書きます)

親会社(とそのグループ会社)から提供される資金は大きく分けると「出資(資本提供)」「広告」「肖像権、キャラクターグッズなどの使用料」「チケットの買い上げ」といったところだ。

「出資」はオーナーとしての特権かつ義務であり、これがあるからこそチームの経営に口を出せる。
チームからすればまずこれが無いとなにも始められないし多いに越したことはないけれど、あくまで軍資金であって「収入」ではないのでどんなに多くても利益には直接繋がらない。
そこで親会社はチームの収入を増やして経営状態を健全にする(見せかける?)ために以下のような支援もしている。

「広告」として一番大きいのはユニフォームに入れるロゴ。
新聞や週刊誌などに写真が載れば、広告料を払わずに社名を新聞に大きく出すことができる。テレビ中継ともなれば、特定の社名や商品名をできるだけ露出しないことになっているNHKでさえ堂々と社名を画面に出してもらえる。
ただしプロ野球の場合、ユニフォームに広告を入れることは長い間禁止されていた。現在でも広告を入れることができるのは袖の部分やヘルメットの横など、ごく一部に限られている。
しかしチーム名であれば一番目立つ胸の部分に大きく入れることができるため、日本では親会社の名前をチーム名の一部に含めることが常識化した。
この裏技っぽい「ユニフォーム広告」を球団の歴史を通して唯一採用しなかったのが「読売巨人軍」で、胸の文字は「GIANTS」あるいは「TOKYO」だった。昨年から「YOMIURI」の文字になったことでさまざまな非難もあったが、この変更によって親会社からの「広告代」として流れ込む収入が多くなったことは間違いないだろう。
余談になるが、テレビ中継などが一般化する以前は胸の文字よりもチーム名に親会社の名前が入っていることの方が試合結果や順位表などとして活字になる機会が多くて効果が高かったと思われる。
さらに球場に親会社やグループ会社の広告が出ている例も多い。球場が別経営になっているところもあるが、その場合も球場運営側の収入が多ければ球場使用料などでの球団側の負担を減らす効果がある。

「肖像権、キャラクターグッズなどの使用料」については親会社に限った話ではないが、親会社が広告やイベントに積極的に選手などを利用すればその分チームに使用料を払うことによって支援することができる。

「チケットの買い上げ」
これが今回の話題の中心。チームにとっても、いくらテレビ中継放映料の比率が大きくなったといっても最も重要な収入源であることには変わりは無い。実は親会社の力の差が一番大きく出る部分でもあると思う。
なぜプロ野球の年間指定席は他のチケットに比べてあんなにも高いのか?売り込む対象が違うからだ。
要は企業が接待用や社員の福利厚生用として経費で購入してもらうことを期待している。そしてその多くを買うのが親会社やグループ会社となっている。
事実、ブレーブスが阪急からオリックスに売却されることによって大口のチケット買い取り先だった阪急グループやその取引先などをあてにできなくなり、当時のチケット営業担当はかなり苦労したらしい。(阪急は義理もあるのである程度購入していたようだが、当然傘下の球団だった頃よりは購入数は減っていただろう)
親会社としても使うつもりの無いチケットをあまり大量に買っているわけにはいかないので(税務署にも睨まれるから)、使い道が多い業種が有利になる面がある。
どこの会社でも高いチケットによる接待に見合うだけの得意先というものはあるものだけど、多くの広告主を持つテレビ局にとっては優先的にチケットを確保できるという特権は魅力的だ。
球団側からみればテレビ局を親会社にしているジャイアンツ(日本テレビ)、スワローズ(フジテレビ)、ベイスターズ(TBS)はそれだけである程度の収入を確保していることになる。
もちろんテレビ局側の理由としては根強い需要のあるスポーツ中継というコンテンツを確保するという意味の方が大きいだろうけど。だからどの球団でも多少は地元テレビ局が出資している。
さらにもっと安い一般向けチケットを景品や販促品として購入するパターンもある。一番わかりやすいのが新聞の定期購読の景品としてばら撒く例だ。
他にもいろんな名目で購入されているのだろうけど、グループ会社によるチケット買い支えの規模が一番大きいのは新聞社とテレビ局を直接親会社に持つジャイアンツじゃないかという気がする。

ジャイアンツが群を抜く人気球団であることは間違いない。
しかしその資金力を支えているのは親会社の力であり、また親会社もその参加球団の人気を巧みに業績に結び付けている。
仮に人気や実力でジャイアンツを越えるチームが現れたとしても、経営面でこれほどの相乗効果を生むことができるのだろうか?
このあたりが一時的にはジャイアンツを凌ぐ強さをもったチームが現れてもいずれは勢いをなくして行き、ジャイアンツのみが常勝の座にとどまっている理由だと思う。
(ライオンズも常勝に限りなく近いと言えるが、松坂がFA権を取得したときが正念場だ)

そんなことを考えてるので、よく聞く「金儲け主義に走らず、長期的な視点からチーム作りを」という意見には大いに疑問を感じる。
長期的に強いチームを作りたいなら、強くなることが金儲けに結びつく仕組みを作らなければいつか崩壊するはずだ。
すでにベイスターズやブルーウェーブはそういう結果を招いているし、今回はホークスだ。タイガースにもその兆候を感じている人は多いはず。

○余談
あまり関係のない話だけど、球場の収容人員数を考えると今年の実質観客動員数はタイガースがジャイアンツを上回ってた可能性もあるんじゃなかろうか。

2003-12-14 星野伸之

鷽スポーツ新聞さんより「村田兆冶、54歳で球速140km/h」の記事。凄すぎ。
この話題で頭に浮かんだのが20代の頃でも140km/hにはとても届かなかった名投手、星野伸之。

全力のストレートでも120km/h台後半。しかし80km/h台のスローカーブとフォークを武器に11年連続10勝以上、通算176勝、2041奪三振、最高勝率のタイトル2回。
「一度でいいからやってみたいこと」を聞かれて「球速表示で140km/hを出したい」と答えている。プロのピッチャーなのに星野にとっては140km/h台は夢の世界だ(笑)
本気で投げたカーブがすっぽぬけてキャッチャーの中嶋に素手でキャッチされた話はわりと有名。

その中嶋はオールスターのスピードガンコンテストでイチローと並んで147km/hを記録したことがある。
日本一の強肩捕手と日本を代表する遅球投手の組み合わせだったわけだ。
ちなみにそのスピードガンコンテストの次の試合(オールスター)でイチローは長谷川に声をかけられている。

長谷川「お前、145出したんだって?」
イチロー「147ですよ」
長谷川「うるさい、ピッチングはスピードだけではないということがわかっていないようだな(怒)」

テレビカメラの前だし、長谷川も本気で怒っているわけじゃない。ちょっと面白かった。
長谷川も星野ほどではないけど球の遅いピッチャーだが、今ではメジャーのセットアッパーだ。「ピッチングはスピードだけではない」を自ら証明している。

閑話休題。
星野の武器は時には80km/hを切るスローカーブ。ストレートとの速度差は50km/h近くになる。
このカーブが大きく曲がって非常に打ちにくいらしく、そのためにあの遅いストレートで三振に取ることができた。
そのかわりカーブのコントロールが決まらないと面白いように打たれてたけど、
ブライアントや清原が120km/h台の球を振り送れて空振りしてたんですよ。
横浜のローズは星野を「日本で一番速い球を投げる」とまで言っている。

星野は高卒でプロ入り。あの遅い球と細い体の選手を高卒で取るのはどうかという気はするが、それだけカーブが完成されていたということだろう。
スワローズの古田と同学年だが、古田が野村監督に使われて名前が知られだした頃には左のエースとしてチームに欠かせない存在だったので、同学年と知ったときには意外に思った。
ともかくタイトルこそ少ないが残した数字は間違いなく一流投手と言える。異色の投手として後世に名を残すにふさわしい、というか残さなきゃいかんよ。タイガース時代しか知らない人には何が凄いのか伝わりにくいだろうけど。
ちなみに奥さんは元ミス・ユニバース日本代表。

参考・おすすめリンク

2004-02-07 名前ネタ

同姓同名といえば日本ハムファイターズの「田中幸雄」だ。
投手の田中幸雄が190cmだったため、現役の方は186cmも身長があるのに「コユキ」というあだ名になったのは80年代のパを知っている人には有名な話。

名前ネタをもうひとつ。
1950年の広島カープ創設以来、歴代のエースには3文字姓が途切れることなく続いている。 リンク先ではちょっとわかりにくいので、年代順に並べてみると

長谷川良平50-63
安仁屋宗八64-74
外木場義郎65-79
北別府 学76-94
佐々岡真司90-

この話を知ったのは佐々岡の入団より前だったので、余計にこの奇跡には驚いてしまう。
もちろんこのことはカープ関係者には有名な話なので、カープの投手陣には3文字姓が比較的多い。決してそれだけを基準に選んでるわけじゃないだろうけど。
今のカープの投手では、佐々岡を筆頭に菊地原、長谷川、苫米地、小山田。うーん。3文字エースの系譜は佐々岡までか?

2004-02-29 プロ野球・節目の記録

日ごと落合監督を応援したくなる今日この頃。久しぶりにプロ野球の濃いネタでも書いてみる。

世間からヘタクソだのなんだの叩かれることはあっても、ろくに試合に出してもらえないような選手でも、基本的にプロ野球の選手というのは野球がとてもうまい人たちなのだ。それでも活躍できないのは、もっとうまい人がいるから。
相手は「野球のとてもうまい人たち」なのだから、プロ野球の頂点に位置するような人にとっても思い通りの結果を出すのは簡単なことではない。
だから完全試合はめったにないし、4割打者はいまだに存在しない。
しかしそれでも狙う人たちがいる。まあ完全試合は難しいにしても、節目となる記録を自分の意図で演出しようとし、それを実現してしまった人たちの話。
まあ狙ってやったことじゃなくて、たまたまそうなったものも入ってますが。

・落合 博満
通算500本安打、1000本安打、1500本安打、2000本安打がすべて本塁打。
本人の「狙ってた」という発言はないみたいだが、さすがにこれは狙ってやらないと無理。

・山田 久志
通算1000奪三振が見えてきた頃「1000個目はリーグを代表するような打者から獲りたい」と発言。
見事に1000個目を清原から奪う。

・村山 実
通算1500、2000奪三振を長嶋茂雄から狙ってゲット。

・江夏 豊
20歳、プロ入り2年目にして稲尾和久の日本タイ記録に並ぶシーズン353奪三振を王貞治から。
さらに同じ試合で新記録の354奪三振も王から。それを実現するために途中の打者8人をわざと打たせてアウトを取っている。
しかもその試合はそこまで0−0の投手戦だった。(そのまま延長戦まで投げ抜き、11回裏に江夏自身のサヨナラ打で勝利)
ジャイアンツV9時代だったとはいえ、こんなバケモノ投手がいても優勝できなかったタイガースって……(この年のタイガースはは5ゲーム差で2位。ジャイアンツも江夏には手を焼いて、ON以外は全員バントで江夏を消耗させるぐらいしか手がなかったらしい)
ちなみにカープ時代の通算2500奪三振も王から。当時はストッパーだったので打者を選べるわけじゃなかったけど、マウンドに立ったときは「あ、狙えるな」くらいは思っただろう。

以下、狙ったわけじゃないだろうけど印象的なメモリアルアーチを知ってる分だけ。

・加藤 英司
ブレーブス、バファローズ、ジャイアンツ、ホークスと渡り歩き、通算2000本安打目をかっての同僚山田久志からの本塁打で飾る。

・イチロー(当時は鈴木 一朗)
プロ初本塁打は野茂英雄から。本来アベレージヒッターだし、やっと試合に出られるようになったところなので狙っていたはずはない。
翌年イチローと改名してレギュラーに定着したとき、すでに野茂はドジャースに移籍。数少ない対戦機会にプロ1号を打つ強運は見事。

・田代 富雄
現役最後の打席で満塁本塁打。
引退前年の半ばから二軍落ちして一軍公式戦の出場がなかった選手が、引退試合となった横浜スタジアム最終戦では消化試合だったとはいえ「4番、サード」でスタメン出場。
全盛時にはホエールズの看板打者だったとはいえ、タイトルとは無縁で終わろうとする選手にこれだけの待遇を用意することからどれだけ愛されていたかがうかがわれる。
もっとも、勝負を左右するような場面では豪快な空振りか内野ゴロというバッターだった(だからチームも下位に低迷した)ので、二死満塁という絶好の場面で「まさか」の本塁打にはやくみつる氏も「豪快な三振を期待したのに裏切られた」と書いている。(笑)

・広沢 克実
現役最終打席で本塁打といえばこちらも。
生え抜きで現役を終えた田代と対照的に、FAという自らの選択による波乱の現役生活。日本シリーズという最高の舞台で締めくくれたことは田代とは別の意味で幸せだったろう。(試合は負けたけど)
本人は「現役を続ける自信はある」と言っているが、それは試合に出続けられればの話。古巣のスワローズならともかく、タイガースで代打に甘んじてやる気を保つのは難しいからこその引退。
長年務めてきたスワローズの4番を捨てるという選択をした選手。生え抜きの八木や帰ってきた久慈、クビになっては拾われてきたカズ山本とは立場や生き方が違う。
控えであってもボロボロになるまで現役にこだわるというより、スタメンを奪える可能性が残っていてこそ現役を続けるタイプの選手だ。
三振の多さなどから誤解されやすいが、基本的には技術でホームランを打つ選手。ただ、レベルが高い割にはその技術に雑なところが目立つことと、調子の波が大きすぎて打てなくなるとサッパリなところが評価を下げた。
ジャイアンツとタイガースの両方で4番打者に座った史上唯一の選手でもある。
お疲れ様でした。

今回の参考&おすすめリンク

追記(2004-03-01)
渦さんに指摘されるまで、イチローの通算1000本安打も本塁打だったことを忘れてました。
調べてみるとこの本塁打もなかなか面白い。

Sankei Webの記事によると、1000本目を打った試合はワンサイドゲームの負け試合。
しかも相手投手の金村は完封目前の最終回。負けは決まっているのでせめて完封を阻止するために一発を狙いたい場面だ。
本来こういう区切りの記録にはこだわろうとしない選手だが、イチローの1000本安打はプロ野球史上最速での達成となるのでマスコミも注目していて、当然本人もあと1本に迫っていたことは知っていたはず。
つまりイチローの「1000本安打目を本塁打」は、元々は狙うつもりがなかったのに狙ってもいい(というより狙うべき)場面が勝手にできあがってしまったのだ。
ちょっと異色の「狙って打った区切りのホームラン」。やっぱりものすごい強運の持ち主。
でも運だけじゃない。狙えるお膳立てができていたとはいえ、こういうおいしい場面でキッチリ狙い通りの結果を出せるというのは、実力があるからこそできるということも忘れてはいけない。
何といってもわずか757試合での1000本安打達成、これは1000本目に本塁打を打つことなどゴミみたいに見える大記録なのだ。

そしてこの記録により、もうひとつの記録が達成されることなく消えていった。
打たれた金村はパ・リーグタイ記録の「3試合連続完封」が達成目前の最終回に幻となってしまった。
連続無失点も27イニングでストップ。それでも3試合連続の完投勝利を飾るわけだが、悔しくないはずがない。

1000本安打目が本塁打をもう一人。中村 紀洋。
プロ初安打も本塁打。

追記(2004-04-12)
M・Kさんから

2000本安打を達成した試合の中継で、

試合前に取材に訪れた記者が、
「これまで節目のヒットはすべて本塁打ですが?」と聞くと
落合が記者をキッと睨んで、
「調べてみなさい。私の節目のヒットはすべて本塁打のハズだ。」と返事をした。

というエピソードを紹介していました。

という情報をいただきました。
掲載が遅れましたが、ありがとうございます。

2004-03-09 イチローの不満

最初に断っておくが、今回のネタはほぼ100%憶測だけで書かれている。
断定的に書いている部分も知ったかぶりのただのイチローファンの思い込みにすぎのないので、ここに書いてあることを元に「イチローはこんなやつだったのか」などと思い込むことは絶対にやめて欲しい。
それにメジャーに行ってからのイチローの言動は追いかけきれていないところもあるので、基本的に日本にいた頃の話だ。
イチローも向こうでさらに成長していることだし、現在のイチローにはそのまま当てはめるわけにはいかない。
と、あらかじめ逃げ道を用意して妄想スタート。(笑)

イチローのマスコミなどに対する対応の素っ気無さは有名だ。大記録を作っても本当に喜んでいるのか疑わしいような味気ないコメントしかしない。
でも嬉しくないわけでもないし話したいことは色々あるんだと思う。でも聞き手がそれについていけないのがわかっているので何を話せばいいのかわからないんじゃないだろうか。
話したいことはあっても相手がその内容を理解してくれないので話す気になれないということは誰だってあるだろう。
(だからこんなところでグダグダ書いてるわけだが)
そしてイチローが話したいことはマスコミが聞きたいと思っていることとのギャップが大きすぎるのだ。
その証拠に田尾安志など一部の解説者やスポーツライターと話すときは本当に楽しそうだった。
そういうときに話していることは、あの試合ではこういうことを考えて打席に入ったとか、あのピッチャーのどんなボールを狙っていたとか、実際に野球をしている人間や一部のマニアしか興味を示さないようなこと。
イチローに言わせれば「野球のことを聞きたいんだろ、野球のことを話そうよ」と言いたいのだろうが、大多数のファンにとってはその内容は専門的すぎて、マスコミもそういう内容は望んでいない。

連続打席無三振プロ野球記録や史上最短の1000本安打、その記録達成の打席が特別なわけではない。1000本安打はその一本一本すべてが練習と工夫の積み重ねとして同じ価値を持っているはずだ。
なぜならそのうち一本でも欠ければ1000本安打ではないのだから。1000本目のヒットをこの目で見ても、それはこの記録の1000分の1を見たことにしかならない。
それなのに何かの記録を更新しそうになると、いつもの何倍ものファンとマスコミがどっと押し寄せてくる。
お前ら野球を見に来たのか、それとも「記録」を見に来たのか。
イチローだって誰も成し遂げたことのないことを自分が実現することは嬉しくないわけではないだろう。
でもそのたびにジャイアンツばかり追いかけていたような記者まで自分のところへ来てコメントをくれ、写真を撮らせてくれ。
宝くじで3億円当たったら今までそんなに付き合いのなかったやつまで急に親友のようにふるまうみたいで、喜びも半減といったところか。
それに記録というものは結局は過去にすぎない。イチローはそれを喜ぶ気持ちよりも、次の打席、次の試合でどういうプレーをするか、そういうことを考える方に楽しみを感じる人間のような気がする。

対照的なのが松井秀喜。新人の頃は受け答えもぎこちなくて、イチロー同様面白味のないコメントが多かった。
しかし名門球団の教育の賜物か、常にマスコミやファンに囲まれた環境で自然にそうなったのか、記者相手に冗談を言って大笑いしてみせる、非常にとっつきやすいキャラクターになっていった。
個人的には昔のぶっきらぼうな松井の方が好きだったので、ちょっとさみしいけどね。
イチローだって選手と話しているときなどは冗談を言い、からかったり大笑いもする。でもマスコミ相手にそういう面をさらけ出すことができない。
プロ野球選手というのは野球がうまいことだけで価値が決まるわけではない。人気も価値のうち、というより野球なんて人気を得るための手段に過ぎないのかもしれない。
そういう意味で松井の方がプロ野球選手としては正常な進化をしたといえる。
しかしイチローはそういうことができない。ファンのことをどうでもいいと思っているわけではないが、野球のプレー以外でファンを喜ばせるよりはよりレベルの高いプレーを見せることでファンを楽しませたいと考える。
よく言えばピュアでストイックな野球小僧。でもそれは純粋すぎてガキ臭い、大人になりきれていない考え方でもある。人気商売の世界にいる人間としては非常に損をしている。
しかしその理想を貫きながら実際にあれだけの人気を獲得している。桁外れのプレイヤーなのは確かだ。

カープの前田智徳はシーズン210安打を打っていた頃のイチローに批判的だった。
彼の理想はボールを見極め、キッチリバットの芯で捉え、力を無駄なくボールに乗せ、強くはじきかえす。まぐれ当たりの本塁打より完璧なシングルヒットを目指す求道者。
ゴロを打って足で内野安打にしてしまうイチローのヒットは明らかに「邪道」だった。
でもこのシーズン210安打、悲しいほどパ・リーグの野球なのだ。それは「話題作り」。
94年の開幕前、登録名を鈴木一朗からイチローに改めレギュラーも当確だった。新井宏昌コーチと話し合い、新井コーチ自身が保持しているシーズン最多安打記録の184安打を更新することを目指すことになった。
確かにそれはトップバッターとしてチームへの貢献に繋がるとはいえ、鈴木一朗の前年の成績は64打数12安打、打率はなんと.188。
レギュラーとしては初めてのシーズンで、全試合に出場できるかどうかもわからないのに新井がプロ12年目で達成した記録を130試合で塗り替えるという正気とは思えないような目標だった。
結果は140試合制での藤村富美男の記録まで塗り替える大活躍。話題作りとしてはそれ以上の成功を収めた。

もう94年のシーズン中にはイチローがヒットを打つのは当たり前になってしまった。
本塁打も打つとはいえ量産する能力はないことは自覚している。しかも当時はデストラーデも健在、長打では勝負にならない。
打撃の内容は進歩を続けていたが、観客がそれを理解することは難しい。スタンドからバッテリーとバッターの駆け引きを楽しめるファンなんてほんの一握りだろう。
そこで守備。
キャッチボールの背面キャッチや練習後にボールをスタンドに投げ入れたり、田口とのコンビでレフト-ライト間のダイレクトキャッチボール。
そしてのちにマリナーズでレーザービームと呼ばれたホームへのダイレクト返球。
実はホームへのダイレクト返球は内野手の中継を入れた場合と比べて稼げる時間はわずかだし、距離が長いから送球がそれるリスクも大きく、肩を痛める危険もある。
(肩の負担が少ないように山なりの返球をすると、中継を入れるより遅い)
あまりいいことではないと忠告した人もいたが、守備でもファンを楽しませたいからと続けている。
意外とファンのことも考えている、言い換えれば目立ちたがりだ。
パには以前から平野、秋山、本西(セでは飯田、新庄)といった守備を見るだけでも金を払う価値がある外野手がいたが、イチローはその知名度を利用してそれまであまり注目されていなかった外野守備に多くの人の目を向けさせようとした。

でもやっぱり野球の華はホームラン、そして奪三振なのだ。
210安打を打った頃のイチローは、目標とする選手に福良、本西の名前をあげた。あれだけの人気を集めているのに、野球に対する考え方はかなり玄人好みというか、マニアックすぎる。
このいかにも阪急ブレーブスらしいキャラクターは持って生まれたものなのか、そういうチームに入ったからなのか?
少なくともセのチームに入団していたらまるで違う印象の選手になっていたんじゃないかという気がする。

もう一度断っておくけど、今回の内容は裏付けを取っていないあやふやな記憶と無責任で身勝手な妄想満載なので、ここに書かれたことを鵜呑みにして大恥かいても知らないよ。
レベルは高いのに世間での知名度や注目は今ひとつな選手の多かった阪急ブレーブス。たまたまそんなチームのファンになってしまったので通ぶって偉そうなこと書いて自己満足してるやつだということをお忘れなく。

2004-03-26 ランス(カープ)

左投げ左打ちの外野手。1987-88在籍。本名、リック・ランセロッティ。
三振か外野フライという選手だった。
ところがその外野フライがスタンドまで届いてしまう。普通のホームランは滞空時間3〜5秒くらいだが、ランスの場合は7秒ほどかかった。
そのため打率.218なのに39本塁打で本塁打王。本拠地が狭い市民球場だったことも関係あるだろう。
あまりの低打率でクビになるはずが、タイトルを獲ったためにクビにできなかったとか。
案の定、翌シーズンは前年を下回る.189という打率で9月に退団。しかしそれまでに19本塁打も打っている。打率を考えるとなかなかのペースだ。
一発しか期待できない選手というのはよくいるが、その極限みたいな選手だった。

今回の参考リンク

2004-03-29 開幕第2戦

小倉と新垣の先発で、打線も好調そうなので打ち合いになれば勝てるかもとは思ったけど……11対9とは激しいな。
平野を指名打者で先発させたり、村松が生涯初の満塁ホームランを打ったりと盛りだくさん。
7回には城島のパスボールと犠牲フライでノーヒットで2点。
これで6点差。楽勝ペースのはずがその裏に小林が出てきていきなりの大炎上。
アウト2つと5失点で降板。最後まで試合をもつれさせる演出のために出てきたのか。
抑えで出てきた山口もいきなり2連打を浴びて同点のランナーを出した後、3人を打ち取る。
開幕直後に最後の最後までわからない泥試合。近鉄の逆転劇や西武のサヨナラ、始まったばかりなのに面白すぎ。
こういう試合をろくに中継しないテレビに腹が立つ。

2004-03-31 本拠地開幕戦!

観に行きました。
駅から降りていきなりびっくり。行列が!ユニバ記念競技場あたりまで続いている!!
内野自由席は売り切れていたので外野へ。それでも立ち見でした。
入ってみると1塁側の方が埋まってる。新庄効果だけというわけではなさそう。

先発メンバーを見ると2番セカンドに塩崎が。平野は降ろされたか。
塩崎を使うなら大島だろうが、と言いたいが最後まで出てこなかったので今日はお休みだったのかもしれない。
セギノールがファイターズ側というのもまだ妙な感じ。
試合の前半は、4回までの毎回得点もあってオリの攻撃がやたらと長かった。

ムーアは5失点とはいえ、すべてホームランによる失点。もともと多少の失点は覚悟の上だし、7回で11奪三振と内容はは悪くなかった。
どうやらオープン戦は三味線弾いてたらしい
8回のブラウンの3ランで6点差、勝ちは決まったかと思ったら9回から出てきた谷中が……
おかげで最後までハラハラドキドキ。変なところで盛り上げすぎ。試合後、応援団が「阪神に帰れ谷中ーっ!」と叫んでました。
新庄へのデッドボールには観客がちょっとざわついてた。
結局アウトひとつ取っただけで2失点、ランナー一三塁で降板、山口に連投させるはめに。
山口は初球いきなり147km/h。速い。まあ150台は最後まで出なかったけど、予定外の登板だからな。
その山口も一人目のセギノールにヒットを打たれ3点差(自責点は谷中)、さらに田中幸雄も歩かせて一死一二塁。
でもその後の木元を三振にして、最後の高橋信もショートゴロで試合終了。
楽勝ペースかと思ったけど最後まで楽しめました。谷中のおかげでな

打線はすごく好調。村松、谷、ブラウン、オーティズ、山崎といった主力が期待以上に打っている。
そのかわり塩谷、オーティズがエラーと守備面には不安がある。まだエラーはないが後藤、平野もあまり信用できない。
外野も谷やブラウンは不安。現にエラーにはならなかったが谷のまずい守備で2塁打になる場面があった。
守備に関しては谷よりも新庄の方がずっと上だな。
まあ外野の2人は守備範囲は広い方なのでまだましかもしれない。

やはり一番の問題は中継ぎ投手陣。おかげで勝った2試合とも最後まで安心できなかった。
打線が好調だから勝てているけど、こんな調子では競り合いになったときに勝てない。
というか、楽に勝てそうなほど点を取っているのに小林、谷中のせいで接戦になっている。最後まで客を楽しませるのがプロということか?(皮肉)

ファイターズは今年も投手陣で苦しみそう。建山の離脱も痛い。
新庄はいい選手だ。人気以外の面でチームの中心になれるかはわからないが、守備はすばらしい。
ただ、2番新庄、3番小笠原にするなら、2番と3番は入れ換えた方がいいと思う。
小笠原は2番を打っていたこともあるし、新庄よりはいろいろと打席でできることが多くて戦術の選択肢は増えると思いますよ?

手ブレがひどくて使えるものが少なかったけど、写真も撮ってきました

2004-04-06 サイクルヒット

細川のサイクルヒット達成記念。
これで63度目のサイクルヒットだそうで、過去の記録を見てみる。

複数回の達成者は3人のみ。
藤村 富美男:記録上、プロ野球初の達成者でもある。(古い時代は詳しい記録が残っていないため)
松永 浩美:サイクルヒットより珍しい「1試合で左右両打席本塁打」(過去32度)を6回も記録。2位は3回(4人)なので圧倒的。
ローズ(YB):史上唯一、3回のサイクルヒット達成者。

他の達成者も豪華な顔ぶれで、実力がなければ無理な記録だということがわかる。(1試合4安打だから当然か)
長嶋、リー、落合、清原、イチローの名前がないのが意外なくらいだ。
面白いところでは、広沢 克巳がジャイアンツ在籍時に達成とか、長崎 慶一がタイガース相手に達成しているあたり。
そういえばオーティズもやってたなぁ……

オールスター戦で唯一の達成者、古田 敦也は公式戦ではサイクルヒットを打っていない。
日本シリーズでのサイクルヒットはゼロ。

それとは別の話で清原の通算三振記録。
ライオンズ時代は秋山の方がずっと三振が多かった印象があるので、秋山より少ない試合数で抜いてしまったのはちょっと意外。
当然こちらも有名選手がズラリと並ぶが、上位には最近の選手ばかりなのがちょっと気になる。

今回の参考リンク

2004-04-12 伊原采配

前から伊原監督は代打や代走を積極的に使うタイプだとは思ってたけど、4月9日の試合はそれを象徴するような内容だった。
試合を観ていたわけではないけど、記録から流れを追ってみる。

8回表を終わって4−0とマリーンズのリード、ここまで清水直の前に散発5安打の無得点と完封ペース。
そして8回裏の攻撃。いきなりこの回の先頭、8番打者前田(2三振)に代わって大島を代打に送る。
仮にこの回を3人で終わっても9回は上位打線から始まるわけだが、どうせこの回で村松まで打順が回るので2死で村松に回るのは得点のチャンスが少なくなってしまう。
得点の可能性を増やすためにはアウトの少ない状態で村松を塁に出したい、そのために8、9番に出塁して欲しいという意図だ。
マリーンズには小林雅というストッパーががいるので、彼が出てくる前に少しでも点を取りたいという事情もあるだろう。
だから大島の結果に関係なく9番の後藤(2打数無安打)にも代打を送るつもりだったはず。
結局大島は四球で出塁、予定通り代打として五島を出す。この五島も安打で出塁。

打順は1番に戻って村松は四球で無死満塁。ここで二塁ランナー五島の代走として日高を送る。
代走要員なら迎がいるが、このランナーが帰ってきても2点差になるだけ。だからブラウンや塩谷あたりが同点/勝ち越しのランナーとして出塁したときのために温存したというわけだろう。
それにキャッチャーの前田に代打を出したので9回表の守備には日高を出すことになる。本来代走に出すほど足が速いわけではない日高を使ったのはそこまで考えてのことだ。
マリーンズにしてみればリードが4点もあるので失点のリスクが増えても満塁の方が併殺を取りやすいので無理をする必要はない。だから村松を歩かせたことは大した問題ではない。
ところが次の平野のショートゴロを小坂がエラー。最悪1点取られてもアウトを1つ取れるはずが、2失点で無死のままとなってしまった。
こうして清水直は2点差で降板し、小林雅の登場。打者は3番の谷、無死で走者2人を抱える難しい場面。

谷は守護神コバマサからヒットを打ちさらに1点を返す。1点差となってあいかわらず無死、走者一三塁。
三振に取りやすいブラウンは思惑通りに三振を取るが、まだ一死、ゴロでも同点の場面。
谷が二塁に盗塁して一塁が空いたので、次のオーティズは敬遠。これで一死満塁。

次の打者は塩谷。オーティズほどの怖さはないが、この試合はすでに2安打を打っている。
マリーンズはここで併殺打に打ち取ればこの回は終了、次の回は先頭の7番は山崎とはいえ走者なしで下位打線となるのでかなり楽になる。何としても併殺で打ち取りたい。
しかし塩谷はライト前にヒット。ついに同点になってまだ一死満塁。
もう投手交代したい場面だが小林雅は続投。頼りにしていたストッパーが予想外に打ち込まれたので、次の投手の準備ができていなかったのかもしれない。
まあこんな場面では誰が出てもいっしょなので、まだ小林雅の方がいいともいえそうだが。

まだ同点とはいえ流れは完全にブルーウェーブ、しかも一死満塁で打者は山崎。
この試合の山崎はここまで3打数無安打の2三振、でもこういう流れはしっかりモノにする打者だ。
見事に勝ち越し&走者一掃の二塁打を打ち勝負を決める。投手は小林雅から藤田に交代。

面白いのはここからで、マリーンズの攻撃は9回の1イニングのみ、展開からいっても3点差あれば勝敗は決まりかけているのに山崎の代走に迎を送る。
まあ監督の立場からすればさらに安全圏までリードを広げておきたいのは当然だろう。
だがここで打者も交代。すでに打順は一巡してこの回の先頭に代打として出てきた大島の代打に佐竹。
大島は塁に出るための代打で今度の佐竹は走者を帰すための代打ということか。それでも大島の方がマシだと思うけど。
大島はすでに塁に出て本塁まで帰ってきているので、ベテランで体力的に不安のある大島に無理をさせたくなかったというのもある。
その佐竹は凡打。次は代走として出た日高はわりと打てるのでそのまま打席に立つが、これもアウトになり長かった8回の攻撃終了。
9回表のマリーンズは投手山口に対してランナーは出すが無得点。ブルーウェーブの勝利で試合を終わる。

結局、8回の攻撃だけで代打と代走で5人もの選手を交代している。試合が終盤だったとはいえなかなか積極的だ。
試合の流れを変えたのは小坂のエラー。その間に本塁に帰ってきたので日高を代走に出したのは成功となったわけだが、なぜ代走は迎ではなかったのか。
さらに走者が出たときの代走要員として温存するといっても平野や谷に代走を出すことは考えられないから、最低でもブラウンが塁に出る(=オーティズに打順が回る)まで使える場面はない。
ひょっとすると代走が迎でなかったためにアウトになったとか、本塁に突入できなくて攻撃が途切れてしまうという状況になる可能性もあったわけだ。
この試合ではうまくいったが、満塁とはいえ4点差の状態で勝ち越しのために代走を温存するというのは伊原の考え方を窺わせるものがありそうだ。

2004-04-13 BW打線の凄さ

吉井、お前もか……まあこれっぽっちも期待はしていなかったけど、中継ぎは点を取られないといけないというルールでもあるんですか?
村松は5打数5安打!しかも6回表で5安打目とは。
大量リードで村松と谷を休ませるのはわかるけど、センター平野とは……これも今後そういう使い方をすることを想定したテストなんだろうな。

4月12日の終了時点でブルーウェーブのチーム打率は.331、1試合あたりの平均得点は8.231。
次に得点の多いライオンズが5.867(セで最多のベイスターズは5.556)だから突出している。
凄いのは12球団中、圧倒的に点を取られている投手陣とは対戦してないのにこれだけ点を取っているということ。

2004-04-18 南海ホークスメモリアルミュージアム

この前大阪に行ったときになんばパークスに寄ってみた。
大阪球場の跡地に建てられたということで、南海ホークスを記念するコーナーがあると聞いたので。

その『南海ホークスメモリアルギャラリー』は7階にありました。
入り口(?)では『あぶさん』が出迎え、1リーグ時代やセ・パ分裂後のリーグ優勝、日本シリーズ優勝を記念するアイテムなどが並ぶ。
この球団の50年の歴史のうち、前半30年間で1位か2位の年が19回という輝かしい記録を持っている。(後半はねえ……)

そして気になるのが「あの人」の扱い。
それを象徴するのが下の写真。
球団史解説文(奮闘〜有終期)
クリックすると拡大

栄光の歴史をほとんど一人で背負う鶴岡監督は当然としても、次に監督に就任し最下位となって1年で辞任した飯田、5位と6位のみだった広瀬、ブレイザー、穴吹の名前もある。もちろん南海ホークス最後の監督、杉浦も。
これより前の時代の解説文には鶴岡以前の監督の名前もある。つまり一人を除けば歴代監督の名前は全て書かれている。
5位と6位だけだった監督の名前はあるのに、最後にリーグ優勝したときの監督の名前はだけは書かれていないわけだ。

こちらは主な選手を写真つきで紹介している写真。
南海ホークスの名打者たち
クリックすると拡大
(名前が読めるようにかなり大きなサイズです)

8年連続本塁打王、戦後初の三冠王、通算657本塁打(史上2位)、史上最多の11本のサヨナラ本塁打、3017試合出場(史上1位)、MVP5回(史上2位)、ベストナイン19回(史上1位)、オールスター出場21回(史上1位)という球団史上最強の大打者がいませんねぇ。香川 伸之までいるのに。

もうここまで書けばわかってると思うけど、その人の名は「野村 克也
南海がミュージアムを作ったと聞いたときからどういう扱いをしているか気になっていたけど、ここまで徹底的に抹殺しているとは恐れ入った。
野村と南海の間に何があったか知らない人は、がんばって調べてください。

ついでに、別所 毅彦の名前もどこにもありませんでした。
こちらも球史に残る大投手。そして南海にとっては野村と並ぶ裏切り者でもある。

と、なかなか楽しめる場所だった。
まあそのあたりを知らないと、ガラスケースに並べられた記念品といくつかのパネルが壁にかかっているだけなんだけど。
他にも何点か写真を撮ってきたので、見てみたいかたはこちらへどうぞ

ただ、この文を書くためにいろいろ調べていると鶴岡一人という人は本当に凄い監督だったんだなというのがよくわかった。
それについてはまた別の機会に書こうと思います。

今回の参考リンク

追記(2004-05-06)
ぐぐっていたときに「ウルトラ+ホークス」さんのBBS(No.842〜)でみつけた間接的な情報ですが、関西テレビのザ・ドキュメント「帰らざる黄金の日々 南海ホークスへの鎮魂歌」という番組で「野村克也の名前がないのは本人が辞退したのが理由」という内容が放送されたようです。
見てみたかったなぁ……

でも野村はともかく別所は故人ですからねぇ……
まあ野村のときは原因を作ったのは野村側だったとはいえシーズン途中で突然の解雇には賛否両論ありますが、別所移籍事件は一方的に別所が悪者扱いされたらしいので遺族が断ったと考えられなくもないです。

2004-05-06 5/5 BW-M 観戦記

関西アレ野球ニュースの渦さんと内野2階席で観戦。
初回、マリーンズは小坂のエラーなどで5失点。
先発のミンチーはあまりいいとはいえなかったがその後は無失点に抑えて6回1/3を自責点1。でもエラーの後連打で大量失点したのはいただけない。
対する川越も毎回ランナーを出しながら6回1/3を2失点。ピンチもあったけど大量リードのおかげもあってミンチーよりは安心できた。

8回に出てきた萩原が、2者連続四球の後でタイムリーを打たれさらに四球で降板。予定より早く山口を出すはめになる。
この日サーパスでは大久保が怪我からの復帰後初の実戦で3者三振。上にあがってくれば萩原のセットアッパーの座は奪われるかもしれない。
満塁の場面で山口が出てくるのは不安があったが、小坂をセンターフライに打ち取る。9回も3人で抑え、珍しくパーフェクトリリーフで10SP。
川越は2002年の5月5日以来、ちょうど2年ぶりの地元での勝利

正直なところ試合中盤はあまり動きがなくてたまたま席を立ってるときに山場がきたりと、タイミングが悪くて盛り上がり損ねたところはあるけど
交通アクセスと名前以外はいい球場なので何度行っても楽しめます。
初回にいきなり大差がつく展開だったのに、マリサポも元気だった。

この試合を左右したのは小坂。最大の勝因である初回の大量得点は小坂のエラーがきっかけの上、打撃の方もノーヒット。(得点に絡んだ犠打がひとつあるけど)
34試合でエラー4つというのも多いが、対BW戦に限ればたった8試合で3つもエラーがある。そのうち2つが勝敗を左右するエラー。
特に4月9日の対BW初戦は試合終盤に4点差をひっくり返され、今も尾を引く小林雅炎上のきっかけを作った。

これでブルーウェーブはマリーンズに8勝0敗。
今のマリーンズはホークス、バファローズに大きく勝ち越しているように決して弱いチームではない。ブルーウェーブは他の4チームには全て負け越している。
仮にこのカードの対戦成績がブルーウェーブの5勝3敗だとすると、マリーンズは17勝16敗で3位、ブルーウェーブは11勝19敗で最下位独走となる。相性が悪いにもほどがある。
本当にここまで来ると呪われているとしか思えない

まあBWを応援している側としては「残り試合が全部マリーンズ戦だったらいいのに」とか妄想したくなるわけだが。

2004-06-18 近鉄合併問題

西日本新聞のコラムに2003年度のダイエーホークスの大まかな収支が書かれている。

そして日本プロ野球選手会の年俸調査によると、バファローズの年俸総額はホークスより6億近く安い。
ホークスも福岡ドームに使用料を払っているので、いくら大阪ドームの使用料が高額といってもバファローズの支出総額は多く見て70億くらいだろう。それに対して年間の赤字額は40億円。
つまりバファローズは収入が支出の半分にも満たない状態で経営をしていることになる。これでは他球団の経営者が赤字額の大きさに驚くのも無理はない。

支出の半分ほどが選手の年俸、大阪ドームの使用料が年10億円ほど、残りの支出の大半は監督、コーチ、球団職員などの人件費だろう。
収入面を短期間で大幅に伸ばすのは難しい。支出を抑えるには高額年俸選手の放出、選手年俸の全体的な抑制、ドームより使用料のずっと安い球場への本拠地移転、職員などの人減らし、その全てがうまくいけば黒字にはならなくても容認できるレベルの赤字額には収まるかもしれない。
しかしそれだけの事をするには、そしてその結果が出てくるまでには時間がかかる。近鉄本社にはその時間がなかった。

それに赤字額が小さければよいというものではない。支出を減らすために人気選手を放出し削れる経費は徹底的に削った結果、広告塔としての魅力が小さくなれば赤字額の許容範囲も小さくなってしまう。
金勘定だけを気にして興行、娯楽としての本質を失えばファンも親会社も喜ばない、何のために存続しているかわからないものになってしまう危険もある。

それともうひとつ見落とされている気がするのは、黒字になればそういう問題がなくなるわけではないということ。
ベイスターズは黒字決算を続けていたのに、赤字になったとたんに身売りすることになった。
カープも黒字を続けているのにFA選手を一切獲得しないなど綱渡りの経営を続けている。
実は選手の年俸の高騰などの理由で、黒字球団でも継続的に資金を投入しないと維持できないのが現状。
タイガースは優勝を狙う補強のために阪神本社に支援してもらう必要があった。
優等生のジャイアンツでさえ、選手の獲得のために読売新聞や日本テレビからの資金に頼っている。
(このため日本テレビの発言力が大きくなり、氏家社長がジャイアンツのことについてコメントする機会が増えていることに気づいている人も多いはず) そうでなくてもグループ会社によるチケットの買い上げや広告費名目での球団への支払いはどこもやっていることで、加盟料や買収費用以外にもこういうコストを払いつづけられる企業でないと球団を持つことはできない。
参考までに2003年の阪神タイガースの決算では、球団の売上高は179億で純益が13億。単純計算すると160億以上の支出があったことになる。
もちろん収入もあるので現金で160億用意しなければいけないというわけではないが、数十億の流動資金を確保していなければやっていけないということだ。

で、最後の球団合併から46年、なぜ今になってここまでプロ野球の経営状態が厳しくなってしまったかというと、誰もがいうように選手の年俸高騰と人気選手のメジャーへの流出が大きな要因。親会社が長期間固定されていたことによる馴れ合いや惰性の経営も原因だろう。
でもね、「選手が欲張るから悪い」といった結論に飛びつくのは短絡的過ぎると思う。
世の中全体が昔に比べれば個人の権利拡大に動いている中で、プロ野球選手だけが「普通の人よりたくさん金を貰っているから」などの理由で昔ながらのルールで我慢しろというのは無理。時代の流れには逆らえない。
いくらFA制度などができてもそれだけで年俸が上がるわけではない。それだけの金を払う球団があるから年俸相場は高騰する。
選手は一種の商品で、買い手がいて初めて値段がつく。
結局そのために経営が苦しくなったということは、その球団は時代に取り残されたということ。
そういう球団を無理矢理延命させようとすると他の球団にもしわ寄せが来て、プロ野球全体が凋落する危険もある。
心情的には2リーグ制12球団を維持して欲しいのだけど、そのためにあまりにも無理をしてさらに状況を悪化させるよりは維持できない球団は涙を飲んで退場してもらった方がプロ野球の健全さを保てるはずだ。
自称今でもブレーブスファンとして、阪急の球団売却はショックだったし悲しかった。でも決断としては間違ってるとは思わなかった。

今回の合併問題はナベツネ主導で進みそう。まあこれはしかたない。
ドラフトや契約更改、選手の移籍の問題などもあるのでシーズン終了までにはある程度結論をまとめる必要がある。
ここでいちゃもんをつけるのはバファローズを主導権争いの道具にしてしまうだけだ。混乱が長引けばプロ野球全体に失望する人がさらに増えて、誰の得にもならないだろう。

こんなことを書くとバファローズファンから見れば「他人事だと思って愛のないこと書きやがって」と思われるかもしれない。
まあ確かに他人事だ。でもやっぱり悲しいんだよ。面白いチームだったし、いまでも面白い選手がいろいろといる。
でも今のバファローズを救うには愛だけじゃ足りない。お金がないとダメなんだ。
せめて合併ではなく買収先があればよかったんだけど…


なんだかうまくまとめることができなかったけど、これだけは言っておきたい。
おまえら不毛な犯人探しはやめろ
どうしてこんな事態になってしまったのか、野次馬なりに理由を探すのはまだいい。
でも「あいつのせいだ」「やつがこんなことをしなければ」なんて話が何になる?
どうせプロ野球について考えるなら「何が問題なのか」の次は「ではどうすればいいのか」だろう。
特定の誰かに責任を押し付けても、それでバファローズが救われるわけでもないしプロ野球が今よりよいものになるわけでもない。

2004-07-03 誰のためのプロ野球?

近鉄合併から始まりあちこちで繰り広げられている一連の議論。今回は近鉄の件は置いといて球界再編、プロ野球はどうあるべきかと話し合われていることで気になったこと。

「球団経営者やオーナーたちはファンのことを無視している」という声もある。まあそうかも。 ただ問題は、ファンの希望が実現することが必ずしもファンのためになるとは限らないということだ。
だいたい文句を言いながらも今のプロ野球でファンを自認する人が、自分が応援してきたチームが消えてしまうことを喜ぶはずがない。
1リーグ制に賛成している人でも、そのために消えるのが自分の応援しているチームだったらそれでも賛成に回る人はどれだけいるだろう?
いることはいるかもしれないけど、それは少数派だろうね。
つまりファンというのは基本的には保守的な考えになりやすい立場だ。1リーグ制に賛成しているファンは、それによって自分の愛しているチームが消えてしまったりどこか遠いところへ移転するようなことは考えてない人が多いだろう。(すべてがそうだとは思ってないけど)

次に地域密着、球団名から親会社名排除、さらに進んで市民球団化、フランチャイズ制の徹底というネタ。
12球団はまだともかく、今のパ・リーグの枠組みを維持したままではかなりの部分を親会社に頼らなければ球団の維持は不可能。
資金的な基盤を地域企業を中心にした連合体に頼るなら、基本的に収支トントン、悪くても年間数億程度の赤字に抑える必要がある。これは日本ではセ・リーグの平均的な経営状態と言えるだろう。
近鉄の年間40億は問題外としても、パの球団はたまに黒字の時はあっても長続きしない。年間十数億の赤字は当たり前の状態だ。
アメリカでは苦しいながらも各地域の球団を維持しているが、マリナーズの任天堂アメリカ/ボーイング、エンゼルスのディズニーランド、パドレスのクアルコム(携帯電話の特許権と基本チップ製造で世界的なメーカー)、ブレーブスのコカ・コーラといった具合に各地に全米規模/世界規模の企業が存在する。(他はよく知らないが、さすがに全球団の地元に巨大企業あるわけではなかったと思う)
日本の地方都市にも大きな企業がないことはないとはいえ、やはりプロ野球球団を支援できるような主要な企業は首都圏に集中しすぎている。
それに市民球団化、フランチャイズ制の徹底のために地域的な競合が起きないように日本全国に球団を配置しようとすれば、12球団では難しい。
地域密着型の球団経営を目標とするなら、1リーグ制とそれに伴う球団数の減少は必須だろう。
12球団のままでやろうとすれば、いずれ脱落するところが出てきてかえって混乱や不安を招くことになる。

プロ野球選手会の大阪近鉄・オリックス合併問題に関する見解と提案(関アレの渦さんに感謝)はわりとがんばっている内容だ。
ただし選手会の立場上、選手枠の縮小に直結する合併や1リーグ制へ向けての球団統廃合は絶対に認められない、そこを出発点にしていることに注意する必要がある。
この内容で気になるのが、

日本プロ野球選手会は真の改革のためであれば、痛みを負うことも当然と考えています。

という一文。具体的にどのような「痛み」を負うつもりなのかはまったく書かれていない。
まあシーズン中で選手会としてきちんと詰めた話をするのは難しいので、下手に具体的なことは書けない。「痛みを負う」と表明しただけでもかなり踏み込んだ内容と言えるだろう。
それにここで具体策を出せば事実上の同意が得られたとして既成事実になってしまう恐れがある。だから選手会は「真の改革のためであれば」という前提、つまり選手会だけでなく球団側もそれなりの痛みを負うのであれば、と釘を刺す必要があった。選手側の一方的な負担であれば受け入れるわけにはいかないのだ。
ただし先に書いたように、選手会の言う「改革」には球団数の縮小は当然含まれない。
球団数の維持のための「改革」なら可能な限り協力する、改革という言葉を使っているがその内容は以前から選手会が主張していたものも多く、保守的だ。
自分たちのクビに関わることだから当然といえば当然の話だが。

「ヨミウリ(ナベツネ)のせいで…」
確かに問題は多い。プロ野球界をいろいろと引っ掻き回してきた。
でもそうでなかったとしたら、いまよりよくなっているという保証がどこにあるだろう?
あちこちで言われているように、視聴率の低迷などで翳りが見えてきたことによる危機感が1リーグ制推進の強い動機になっているのは間違いない。
しかし今でもジャイアンツは非常に優位な位置を占めていることを考えると、球界再編というのはなかなかリスクの大きい作戦だ。
だからこそ再編の主導権を握って自分たちに不利な方向へ進まないようにしようとしているわけだが、そのためにジャイアンツが背負おうとしているリスクやある程度は自ら犠牲を払う覚悟があることを軽視している人が多いような。
今まであげた中では最も改革に積極的と言えるが、その一方でジャイアンツの優位な立場を維持するための「改革」という見方もできる。

別にファンや選手会は保守的でよくないとかジャイアンツを改革の旗手として持ち上げたいわけじゃない。
1リーグと2リーグ(他の問題もあるけどわかりやすいところで)どちらの選択をしても、ある程度のリスクや犠牲はある。
1リーグ制に移行(というか球団数縮小)したときのメリットは

その一方でデメリットも決して小さくはない。

なんとなく1リーグ制支持寄りになってしまった気がするけど、長いことパを応援してきたのだし、できる限りパ・リーグには存続して欲しい。
でもそこには今のプロ野球の問題をそのまま残してしまったり、現状維持にこだわってさらにひどい歪みを生んでしまうのではないかという不安もある。
選手会の提案している内容は十分に検討に値する内容だと思う。でもそれらは1リーグだろうが2リーグだろうがいずれ何とかしなければいけない問題で、2リーグ制の延命策としてだけ考えるものではない気がする。
2リーグ存続の手段として出してくることが間違っているというわけではないけど。(わかりにくいこと書いてスマン)

渦さんが7月2日のところで書いている
豊田サン、8チームがいい理由、詳しく説明してくださいヨ…
という言葉も理解できるけど、同時に12球団でなければいけないならその理由も考える必要がある。
8とか12という数字だけの議論は市場規模などの数字だけを見てファンが見えていない危険はあるけど、一方で「ファンの声」が持っている危険性にも気づいて欲しい。
今、声をあげているのは今のプロ野球ファンだけだ。
10年後、20年後、100年後の未来のファンのためにより楽しめる、より熱くなれるプロ野球を残すためにはどうすればいいのか?
ここまで書いといてズルいのは承知の上で、正直わからない。
でも少なくとも球団経営者の一部は、未来のファンのことも意識してるんですよ。大切な金づるだから(笑)


あと、近鉄買収に名乗りを上げたライブドア。
資金力や財務状況から「プロ野球をバカにするな」と思うし、以前から聞いている噂などからいってまるで信用できない。
でも、保持している現金や球団経営に見せる意欲(ちょっと疑問符付き)を考えると魅力的なのは確か。
筆頭株主/オーナーとして出てくるのは猛烈にやめてくれと言いたいが、20%程度の出資でバックアップするということならかなり悪くない話だと思う。
まあそれなりに名前は売ったことだし、もしも買収の目的がライブドア会員サービスのキラーコンテンツとしてバファローズを手に入れたいのなら、筆頭でなくても主要株主になればかなりの権利を確保できるはずだし、「売名行為」という非難もきちんと否定できるので悪くないと思うのだけど。
ただ、最初に名乗りを上げたことを考えると露出の圧倒的に少ない2番手に甘んじるかどうかわからないけど。球団経営にも積極的に関わっていく姿勢を見せていたしねえ。

2004-07-10 渡辺・堤の思惑

7月8日にジャイアンツ・渡辺とライオンズ・堤の両オーナーが記者会見で明らかにした三軍構想は、1リーグ制が前提になっているとはいえそう悪くないものだと思う。

これが支配化選手枠の拡大につながることはわかりやすい。つまり球団数の減少によってプロ野球全体での選手層が薄くなることを緩和できる。
それどころか少なめに見積もっても一、二、三軍合わせて90人程度は必要なので、12球団×70=840人から10球団×90=900人となるので数字の上では増えることになる。
一軍で試合に出られる人数はどうしても減るので、同列には扱えないけど。
それでも三軍でも試合を行うことで、支配下選手が増えても試合に出られる機会はむしろ増えることは重要だ。
社会人と同格で争う三軍がプロと呼べる立場かどうかは微妙だけど。

二軍、三軍はそれぞれ本拠地を別にすることで、一軍と合わせて30チームで47都道府県の半分以上をカバーできる。
そして一軍では無理でも二軍、三軍なら経営規模からいって地元優先、地域密着の経営をしやすい。
独立採算制にすることで実質的には市民球団として活動することもできるかもしれない。

三軍は社会人とリーグ戦を行うこと、社会人野球側の反応も悪くないことも注目に値する。
今でも社会人とプロ二軍との試合は行われているが、あくまで練習試合。リーグ戦という形で直接力量を比較されるのとはかなりの違いがある。
スカウト活動としても社会人選手がプロで通用するのかを見極め易いし、社会人の選手にとっては直接アピールするいい機会になる。逆に言えばプロ側の底辺の選手は危機感を持つことになるが、ろくに試合に出られないまま解雇されるよりは納得ができるだろう。
そしてプロ・アマ間の垣根が低くなることも期待できる。今はまだ元プロの選手がアマのチームに所属するには制約が多く、プロを首になったら野球をする場がほとんどなくなることがプロへ行くという選択をリスクの大きいものにしているのだ。
一度首になってもすぐに社会人で雇ってもらえれば、プロへ復帰するチャンスがずっと増えることも見逃せない。山本 和範のようにバッティングセンターで働きながらプロに復帰、といった奇跡に頼らなくてもいい。

社会人との交流という案は堤が出している。
元JOC会長で以前は名門アマチームのプリンスホテルを傘下に持っていたので人脈もある。
アマ側との交流では堤が中心になるのは間違いないだろう。

個人的にはプロとアマの断絶解消はリーグや球団をいくつにするかなんてことよりずっと大切だと思っている。
ただ時間をかけてやることなので注目度が低くなってしまうのはしかたないけど。

さて1リーグ制。あくまでも皮算用でしかないけれど、もしもその結果として経営内容が改善されれば、それはジャイアンツ戦への依存度を減らす効果があるかもしれない。
勘違いしないでほしいけど、ジャイアンツ戦に依存しないで済むなんて考えてるわけではない。今のように巨人戦に収入の多くを依存している状態よりは多少は収入源が分散され、相対的に見てジャイアンツに偏りすぎた力関係が変わってくる可能性があるということ。それでもジャイアンツがトップの位置を占めることには変わりないだろう。
その「相対的に」減った力が他球団に均等にいきわたるなんてことはない。それによって得られる権力は西武に回る分が一番多いはず。西武は同じリーグであれば中日や阪神より下に来るとは考えにくい。たぶん堤の狙いはそこにある。(戦力や順位じゃなくてオーナー同士の力関係の話ですよ)
西武に次いで権力比率を上げやすいのはオリックス。この2球団が1リーグ化に積極的なのもよくわかりますね。

では渡辺というか読売はなぜ今の圧倒的な地位を失いかねないことを推進するのか?
前にも書いたように球団自体は黒字でも支出は毎年確実に増えている。読売新聞や日本テレビからの資金投入もそれに連動して増えているはず。(未確認)
視聴率の低迷などを考えれば同じペースで金をつぎ込むことは難しく、まだ数字には表れていないけど今後の資金繰りの見通しはそんなには明るくないのだと思う。
もしも1リーグ化によって他球団の経営環境が改善しプロ野球全体の活性化につながるのなら、プロ野球内部での割合としては力を減らしてもプロ野球というパイ全体が大きくなることで今と同等かそれ以上の力を持てる可能性がある。親会社と球団のパワーバランスや企業グループ全体の力としてはより強化できる道なのかもしれない。
そういう意味で渡辺がこの案を持ち出したのは、三軍の設立とそれを各地方に分散させることはプロ野球が押さえていなかった空白地帯を少なくし、市場の拡大につながることを狙っているのは間違いない。
もちろん権力の相対的な低下についても甘んじて受け入れるのではなく、維持するために可能な限りの努力はするだろうし、それがうまくいかなくても再編の主導権を握ることで最悪の場合でも当分は盟主の座から転がり落ちることはないという計算があってのことだろう。
堤の方もプロ野球の力関係としてはどんなにうまくいっても読売と同等の地位が精一杯という認識だと思う。

まあこんな感じでお互いに最終的な思惑は微妙に違うことは承知の上での呉越同舟ではないかなと。
プロ野球の諸悪の根源が読売巨人軍だと思うなら、1リーグ制に賭けてみるという選択肢もありますよ?(成功するかはわからないけど)
だいたい12球団維持で読売の影響力を減らす手段なんてほとんどなさそうだし。


それから堤の言ってた2つ目の合併球団。
発言にあったように必ずしもライオンズが絡むとは考えていないと思う。ただ他がまとまらなかったらライオンズが他と合併することも想定のうちということで。
んで、その場合に狙っているところはファイターズが有力だろう。
大手私鉄グループは必ず不動産開発部門を持っているが、その中でも西武はグループの中核企業のひとつとして国土計画を抱え、リゾート開発には実績があり今も力を入れている。北海道はかなりおいしい。
ファイターズが「合併など考えていない」というのは北海道に移転したばかりで、すぐに出て行くのは明白な裏切り行為となりイメージ的にも最悪。逆に言えば北海道に残れるなら西武から出してくる条件が満足できるものなら合併の可能性はなくはない。
ライオンズは西武ドームができて間もないし、親会社の沿線住民から離れてしまうのはイメージ的にマイナスだが、それを緩和できそうな要素がひとつある。
ブルーウェーブとバファローズの合併で期限付きとはいえダブルフランチャイズが認められそうな状況だということだ。
前例があれば認められる可能性はかなり高い。というか残っている球団は地域的に競合しているところはないので、ブルーウェーブとバファローズを認めたら認めないわけにはいかないだろう。
そして二軍、三軍の地方分散が実現すればたぶんそれぞれフランチャイズ権を持つことになる。そうなれば二軍の本拠地を西武ドームにすれば地元への顔も立つ。
裏を返せば二軍、三軍のフランチャイズは10球団化への抵抗を減らす材料としても使えるわけだ。

でも気をつけよう。日本各地を30のチームが押さえるということは、それ以上球団が増える余地はほとんど残されていない。
たとえ加盟料を撤廃したとしても、10球団でプロ野球が盛り返して市場的には球団増加できる余力ができても、フランチャイズに阻まれてとても一軍の経営は成り立ちそうにない場所しか残されていないのだ。
まあ新規参入のために二軍か三軍の本拠地を移転してフランチャイズを明け渡してくれるところがあればなんとかなるかもしれないけど。
地元としても二軍よりは一軍のチームの方が喜ぶ人も多いだろうしね。

2004-07-11 フレッシュオールスター2004フレッシュオールスター

初めてフレッシュオールスターを見ました。スタンドから。
でも10日の本番オールスターは忘れてた…

ファーム12球団旗
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試合前には関西のスポーツ用品店チェーンがスポンサーになって、子供向けのベースボールクリニックが行われた。
見た感じ、年齢層も小学1年生ぐらいから中学生まで幅広い。
選手がノックしたりしている
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最後にはみんな挨拶してから帰るのだけど、鳥谷は握手責めにあっていた。やはり場所が大阪ドームということもあって1番人気。

試合が始まる前から気になったのが、大阪ドームなのにウエスタンが先攻でビジターのユニフォーム。それなのに1塁側ベンチ。
フレッシュオールスターはいつもこうなの?

こういうのは試合の勝ち負けよりもどんな選手がどんなプレーをするかを見る方がおもしろい。
で、まずはウエスタン先発の馬原(H)。この試合で唯一150km/hオーバーの球を何度も投げていてスピード的には明に別格だったけど内容は最悪。
青木(YS)に三塁打を打たれたのはともかく、そのあと打者二人に連続死球。
ぶつけたことが悪いんじゃない。ストライクゾーンの球をことごとくファウルにされて、苦し紛れの内角高目が当たってしまったようだ。全体的に高めの球しかこなかった。
岩館に2点タイムリーを打たれた後は連続三振で切り抜けるあたり、球は速いんだけどそれだけという感じ。
キャッチャーがいつもと違うという事情もあったろうけど、1軍で5試合も先発している投手にしては情けない内容。

次に出てきた筒井(T)。いきなり先頭打者の矢野(G)に本塁打を打たれる。
続く打者二人をアウトにした後、青木(YB)が二塁打。次の吉村(SS)にまた本塁打。
次の小谷野(F)は前の打席に続いてまた死球をぶつけられ、その次の岩館(G)も前の打席同様にタイムリー。
結局1イニング4失点のさんざんな内容。

次のウエスタンの投手は川岸(D)。2イニングで1失点。やっと落ち着いてくる。
ウエスタンの6人の投手のうち、無失点で切り抜けたのは大島(C)の2イニングと柴田(SK)の1イニングだけ。
最後の朝井(Bu)も黒瀬(L)の本塁打を含む3失点。
ウエスタンは野手もあまり見せ場がなく、ヒットを打ったのは4人だけでイースタンに完封リレーを許す。
まあ鳥谷(T)が3打数1安打1四球でギリギリ面目を保ったのとウエスタンで唯一2本のヒットを打った嶋村(SK)くらいか。
いいところのなかったウエスタンの中ではひいき目抜きでも柴田、嶋村のサーパス勢がましだったけど、やっぱりイースタン選手の活躍の方が目を引いた。

まずは最優秀選手の青木(YS)。三塁打、二塁打、単打、(遊ゴ)、単打の4安打。
単打2本は両方タイムリーヒットだし、盗塁も2つ決めるなど大活躍。
センターを守っていることもあって、ヒーローインタビューでも言われていたようにかつてジュニアオールスターで最優秀選手に選ばれたときのイチローのようだった。
早稲田卒の新人は鳥谷だけじゃないぜ。(由田はまだまだ…)

それから先発投手の須永(F)。3イニングを2安打無失点。優秀選手賞。
ウエスタン先発の馬原とは対照的に球が遅い。全球見たわけじゃないけど最速でも139km/h。
それなのにどこがよかったかというと、ストライクを取りにいける変化球を持っている。
しかも球速から判断して、複数の変化球でストライクが取れる。
高校時代は最速144km/h出ていたらしいので、スピードよりコントロール重視で投げてたのかもしれないけど、やっぱり変化球主体の投手だと思う。
カーブが100km/h以下になればスピードは今のままでも通用するんじゃないだろうか?
さすがに高卒新人ながら1軍でも投げているだけの事はある。(でも2試合で8イニング10失点か…)
個人的には将来の期待度は青木以上ですよ。

他に優秀選手賞は、3打数2安打3打点の岩館(G)、3打数3安打2死球と全打席出塁した小谷野(F)。
ウエスタンからは2イニングを1奪三振無失点の大島。柴田が1イニングで2奪三振無失点と三振数では上だけど、やっぱり長いイニングを投げた方が評価されたということだろう。
本塁打を打った3人が入っていないことに納得できない人もいるかもしれないけど、ワンサイドゲームだったこともあってこちらも試合全体で活躍した方が優先された。

あと、先発ショートの尾崎(F)。みんな裾がくるぶしまであるパンツだったのに一人だけ膝下までストッキングを見せていた。
ノーヒットだったけど、セカンド西岡(M)からの難しい送球を捌いてこの試合唯一の併殺プレー。
いいプレーだった。

2004-11-12 楽天の捕手とか

※ここでは基本的にチーム名はカタカナ名で書いてきたんだけど、オリ近をバファローズと呼ぶのもゴールデンイーグルスという名前にもまだ抵抗があるので「オリ近」「楽天」で書きます。

オリ近 - 楽天の分配トレード、投手は見劣りするとはいえ楽天もそれなりに実績がある選手を確保できたけど、捕手の日高、的山は案の定プロテクト。
もちろん最低限の投手を確保するのが最優先なんだけど、どのチームでも1軍で実戦経験がある捕手というのは限られている。オリ近がプロテクトのも当然で、藤井を獲れただけでもよかった方かも。
まあそのあたりは楽天も予想していたようで、分配ドラフト前に横浜から中村武志を無償トレードで獲得している。(結果的に中村は楽天入団が確定した選手第一号)

ところでこの分配ドラフトに先立って三輪が任意引退してオリ近のコーチ就任が内定しているんだけど、こうなるとプロテクトされていないのに楽天は獲得できないことになる。
見方によっては楽天に獲られるくらいならコーチにして囲い込み…
いや本人にその意思がなければ無理だし、今の三輪の肩では楽天でもきついと思うけど。

ついでに中村の無償トレードについて。
すでに相川と鶴岡が育ってきたとはいえ、中村クラスだとタダでくれてやるのは丸損っぽい。
んでも「推定1億円を超える高額年俸がネックとなった」という記事もあったように、横浜にとっては選手の引き取り先があれば直接の見返りがなくてもその年俸を払わなくて済むだけでも金銭的にはプラスになるということらしい。
似たような例としてはブレーブスからホークスへ出戻り移籍した門田というのもある。(門田の交換要員としてホークスに行った3選手はほとんど役に立たなかったし)
もちろんホークスからジャイアンツへ移籍した小久保にもそういう面があったわけだけど、まだ年齢が若いのでそれだけの理由で無償というのは納得がいかないんだよなぁ。