まず最初に断っておくけど、ここではドラフト制度そのものの問題とかありかたについてどうこういうつもりはありません。そういう方向に話が広がると収拾がつかないのであくまでピンポイントの話題。
現在日本のプロ野球では、ドラフト対象選手はドラフト会議で指名を受けなければプロに入団することはできない。
そのドラフト対象選手となるのは、おおざっぱにいえば過去にプロ野球に入団しかことのない選手のうち、「日本国籍を持っているもの」「日本の学校に在学していたもの(中学校以上)」となっている。
このルールだと多田野もドラフトで指名されなければプロ野球の選手にはなれない。
ところでドラフト制度は何のためにあるのかというと、過去にアマ選手の強引な引抜きなどの問題が起こったことから「過剰な選手獲得競争の抑止」というのが真っ先にあげられる。
一部の有望なアマ選手やその周囲で大金が動くのはアマ野球界にいろいろと迷惑をかけるので、一定のルールを作ってその枠内で競争することにする。うまくいっているかどうかはともかく、一応そういうことを目指しているわけです。
「戦力の均衡化」もあるじゃないかという意見もあるかもしれませんが、それは独占交渉権の分配をある程度公平感のあるものにするための副次的な要素といっていいでしょう。
プロ経験がなくプロとしての判断力は期待できない選手や、その選手の在籍するチームなどを過剰な競争に巻き込まないというのが第一義的な目的。
ところが多田野はMLBでそれなりの実績を残した、どう見ても「プロ選手」なんですよ。
だからアマ選手と同等に競争から保護されるような立場ではなく、むしろどこの球団も保有権を持っていないのに自分の意思で(日本のプロ球団内での)交渉先を選べないというのは権利の重大かつ理不尽な制約にしかなっていない。
「戦力均衡化のためにはドラフトで指名されるべきだ」という意見もありそうだけど、同じようにMLBに在籍した選手でも外国人ならドラフトには縛られない。
誰が見ても「プロの選手」なのに、日本国籍を持っている、日本の学校に在学していたという理由でこのような制約を受け、外国人選手よりも不利な立場に置かれるというのはおかしくないですか?
まあ今まではプロ野球に在籍せず海外のプロを経由して日本のプロ野球に入団する例はほとんどなかったのだから、制度の想定外だったという理由付けも一応はできそうですが、すでに2002年の鈴木誠(マック鈴木)という前例がある。
このときすでに
といった制度の歪みが表面化している。
それなのに何の手もつけないまま、同じことを多田野にも繰り返そうとしているわけですよ。
マック鈴木指名の後は裏金問題でドラフト制度自体が大荒れだったという事情もあるけど、この「外国のプロに在籍経験のある選手」という部分だけを見れば、アマ球界や各球団間とのややこしい利害関係とはほとんど無縁なので手をつけようと思えばいくらでもできたはずなのに。
今後もこういったケースがたびたび出てくることは十分に予想できるので、そろそろ何とかした方がいいんじゃないでしょうか。
ちなみに今のルールで海外プロ経験者を除外するようになっていないのは、日本のプロ球団がドラフト回避の目的で選手を海外に行かせ、ドラフト対象外となったところで獲得するという「抜け穴」を防ぐ意図もあると思われます。
だからドラフト対象外になる条件として「一定以上の在籍期間と一定以上の公式戦での実績」みたいな条件は必要でしょう。
さらにMLBと台湾など他の海外プロではまだかなりレベルが違うのが現実なので国ごとに条件を変えないと「ハードルの低い国でドラフト外しの実績作り」といった抜け穴を作ることになりそう。
もひとつ、アマからは選手獲得についてプロ野球とほぼ同等の扱いを受けている国内独立リーグ選手は海外プロと同等の扱いでもいいのかも…とか、いろいろ細かい部分を詰めなきゃいけませんけどね。
獲る側にしても、ちょっとしたギャンブルですね。<br>交渉権を得ても入団拒否されてしまうと、それっきりですし。<br>「別の選手を指名知ればよかった。」ということにもなりかねませんね。
すみません。訂正です。(汗)<br>×指名知ればよかった<br>○指名すればよかった
そもそも私はドラフト制度自体が違憲の疑いが極めて強いと思ってますから、極端な話、Jリーグのような契約体系をプロ野球が参考にするといいんじゃないかなぁと思ってるんですが、そこは収拾がつかなくなると釘指されてますんでさておき。1つお伺いしたい点と、1つ指摘を。<br><br>▼成人の判断力をプロとアマで差別している点<br> 高校生は未成年だから……という理由で判断力に疑義を挟まれて競争から保護される(交渉先を選ぶ自由を制限する)、というのは意見としてあっていいと思うんです。しかしながら大卒であれば社会経験が満足では無いとはいえ完全に成人、さらには社会人の場合は一般社会をある程度経験している成人選手にあたりますよね?<br><br> プロ経験者が国籍・在学経験で外国人選手枠の選手より不利な立場になり、「自分の意思で(日本のプロ球団内での)交渉先を選べない」「権利の重大かつ理不尽な制約」があるとおっしゃられているアルビレオさんのご意見には完全に同意するんですが、“それならば”私は成人入団選手についてのプロとアマの区別も「自分の意思で交渉先を選べない」「権利の重大かつ理不尽な制約」だと言える気がするのですが、そこのところいかがでしょう? 制約される線引きが、未成年/成年ならともかく、プロ/アマ(?)(特に社会人選手もアマ?企業アマ?)というのは、根拠が薄い気がします。<br><br>▼制度と現状の変化の折り合いについて<br> もちろん現状のドラフト制度がいろんな妥協案を採り入れつつ変遷してきた経緯があり、かつ矛盾を含みながら現状と折り合う形で成立している、ということは分かった上で、それはとりあえず置いておいて質問してるんですけどね。。。制度の歪みが表面化しているというか、矛盾を既に含んでいて、現状でドラフト制度を続けていくというオーナーや選手会の大勢のコンセンサスがありますから(私には選手会自体が新規入団選手の契約権利の制約を大いに支持している点は理解に苦しみますが)、ドラフト制度を続けていく以上はこういう運用は致し方ないかなという気がします(マック鈴木選手も取り立てて大きな抗議はされなかったですし)。<br><br> この辺り、当事者(今回だと多田野投手;もっと一般的に言うと新規入団選手)が司法の場に訴えて出ていけば、職業選択の自由が侵害されていて勝訴の見込みも高いという見解を出されている弁護士の見解もあるのですが(もちろんこの分野を研究されてる弁護士の方々です)、当事者が実際に試みてみないと何とも。<br><br> あと、制度運用上、アルビレオさんご提案の案の改正に12オーナー陣が賛同しないだろうなあと思うのは、アルビレオさんご指摘の「抜け穴を防ぐ意図」もそうだと思うのですが、それ以上に「ますますNPBを経ずに直接MLBその他プロリーグへ挑戦する方向へ流れてしまう」ことへの懸念がネックになるように感じました。
ああ、最近忙しくてきちんとコメント返せない…<br><br>M・Kさん<br>昔は指名拒否してアマを続ける人もけっこういて、そういう意味では今よりもギャンブルだったみたいです。<br><br>渦さん<br>>成人の判断力をプロとアマで差別している<br>話を絞るためにあえてそこは書かなかったんですが、ドラフト制度はプロ球団とアマ選手の間の問題というだけではなく、アマのチーム、組織も当事者として深く関係しているのがそこらへんに絡んできます。<br>そのことはまた改めて書いてみます。仕事が落ち着いたら…orz
>ますますNPBを経ずに直接MLBその他プロリーグへ挑戦する方向へ<br><br>ルールが作られた時点でどういう意図を持っていたか、という見方をしていたのでそこまでは気がつきませんでした。<br>確かに今だとそういう懸念があるので、プロ野球としてはわざわざいじろうとは思わないでしょうね。