2004-04-13 BW打線の凄さ

吉井、お前もか……まあこれっぽっちも期待はしていなかったけど、中継ぎは点を取られないといけないというルールでもあるんですか?
村松は5打数5安打!しかも6回表で5安打目とは。
大量リードで村松と谷を休ませるのはわかるけど、センター平野とは……これも今後そういう使い方をすることを想定したテストなんだろうな。

4月12日の終了時点でブルーウェーブのチーム打率は.331、1試合あたりの平均得点は8.231。
次に得点の多いライオンズが5.867(セで最多のベイスターズは5.556)だから突出している。
凄いのは12球団中、圧倒的に点を取られている投手陣とは対戦してないのにこれだけ点を取っているということ。

2004-04-18 南海ホークスメモリアルミュージアム

この前大阪に行ったときになんばパークスに寄ってみた。
大阪球場の跡地に建てられたということで、南海ホークスを記念するコーナーがあると聞いたので。

その『南海ホークスメモリアルギャラリー』は7階にありました。
入り口(?)では『あぶさん』が出迎え、1リーグ時代やセ・パ分裂後のリーグ優勝、日本シリーズ優勝を記念するアイテムなどが並ぶ。
この球団の50年の歴史のうち、前半30年間で1位か2位の年が19回という輝かしい記録を持っている。(後半はねえ……)

そして気になるのが「あの人」の扱い。
それを象徴するのが下の写真。
球団史解説文(奮闘〜有終期)
クリックすると拡大

栄光の歴史をほとんど一人で背負う鶴岡監督は当然としても、次に監督に就任し最下位となって1年で辞任した飯田、5位と6位のみだった広瀬、ブレイザー、穴吹の名前もある。もちろん南海ホークス最後の監督、杉浦も。
これより前の時代の解説文には鶴岡以前の監督の名前もある。つまり一人を除けば歴代監督の名前は全て書かれている。
5位と6位だけだった監督の名前はあるのに、最後にリーグ優勝したときの監督の名前はだけは書かれていないわけだ。

こちらは主な選手を写真つきで紹介している写真。
南海ホークスの名打者たち
クリックすると拡大
(名前が読めるようにかなり大きなサイズです)

8年連続本塁打王、戦後初の三冠王、通算657本塁打(史上2位)、史上最多の11本のサヨナラ本塁打、3017試合出場(史上1位)、MVP5回(史上2位)、ベストナイン19回(史上1位)、オールスター出場21回(史上1位)という球団史上最強の大打者がいませんねぇ。香川 伸之までいるのに。

もうここまで書けばわかってると思うけど、その人の名は「野村 克也
南海がミュージアムを作ったと聞いたときからどういう扱いをしているか気になっていたけど、ここまで徹底的に抹殺しているとは恐れ入った。
野村と南海の間に何があったか知らない人は、がんばって調べてください。

ついでに、別所 毅彦の名前もどこにもありませんでした。
こちらも球史に残る大投手。そして南海にとっては野村と並ぶ裏切り者でもある。

と、なかなか楽しめる場所だった。
まあそのあたりを知らないと、ガラスケースに並べられた記念品といくつかのパネルが壁にかかっているだけなんだけど。
他にも何点か写真を撮ってきたので、見てみたいかたはこちらへどうぞ

ただ、この文を書くためにいろいろ調べていると鶴岡一人という人は本当に凄い監督だったんだなというのがよくわかった。
それについてはまた別の機会に書こうと思います。

今回の参考リンク

追記(2004-05-06)
ぐぐっていたときに「ウルトラ+ホークス」さんのBBS(No.842〜)でみつけた間接的な情報ですが、関西テレビのザ・ドキュメント「帰らざる黄金の日々 南海ホークスへの鎮魂歌」という番組で「野村克也の名前がないのは本人が辞退したのが理由」という内容が放送されたようです。
見てみたかったなぁ……

でも野村はともかく別所は故人ですからねぇ……
まあ野村のときは原因を作ったのは野村側だったとはいえシーズン途中で突然の解雇には賛否両論ありますが、別所移籍事件は一方的に別所が悪者扱いされたらしいので遺族が断ったと考えられなくもないです。

2004-05-06 5/5 BW-M 観戦記

関西アレ野球ニュースの渦さんと内野2階席で観戦。
初回、マリーンズは小坂のエラーなどで5失点。
先発のミンチーはあまりいいとはいえなかったがその後は無失点に抑えて6回1/3を自責点1。でもエラーの後連打で大量失点したのはいただけない。
対する川越も毎回ランナーを出しながら6回1/3を2失点。ピンチもあったけど大量リードのおかげもあってミンチーよりは安心できた。

8回に出てきた萩原が、2者連続四球の後でタイムリーを打たれさらに四球で降板。予定より早く山口を出すはめになる。
この日サーパスでは大久保が怪我からの復帰後初の実戦で3者三振。上にあがってくれば萩原のセットアッパーの座は奪われるかもしれない。
満塁の場面で山口が出てくるのは不安があったが、小坂をセンターフライに打ち取る。9回も3人で抑え、珍しくパーフェクトリリーフで10SP。
川越は2002年の5月5日以来、ちょうど2年ぶりの地元での勝利

正直なところ試合中盤はあまり動きがなくてたまたま席を立ってるときに山場がきたりと、タイミングが悪くて盛り上がり損ねたところはあるけど
交通アクセスと名前以外はいい球場なので何度行っても楽しめます。
初回にいきなり大差がつく展開だったのに、マリサポも元気だった。

この試合を左右したのは小坂。最大の勝因である初回の大量得点は小坂のエラーがきっかけの上、打撃の方もノーヒット。(得点に絡んだ犠打がひとつあるけど)
34試合でエラー4つというのも多いが、対BW戦に限ればたった8試合で3つもエラーがある。そのうち2つが勝敗を左右するエラー。
特に4月9日の対BW初戦は試合終盤に4点差をひっくり返され、今も尾を引く小林雅炎上のきっかけを作った。

これでブルーウェーブはマリーンズに8勝0敗。
今のマリーンズはホークス、バファローズに大きく勝ち越しているように決して弱いチームではない。ブルーウェーブは他の4チームには全て負け越している。
仮にこのカードの対戦成績がブルーウェーブの5勝3敗だとすると、マリーンズは17勝16敗で3位、ブルーウェーブは11勝19敗で最下位独走となる。相性が悪いにもほどがある。
本当にここまで来ると呪われているとしか思えない

まあBWを応援している側としては「残り試合が全部マリーンズ戦だったらいいのに」とか妄想したくなるわけだが。

2004-06-18 近鉄合併問題

西日本新聞のコラムに2003年度のダイエーホークスの大まかな収支が書かれている。

そして日本プロ野球選手会の年俸調査によると、バファローズの年俸総額はホークスより6億近く安い。
ホークスも福岡ドームに使用料を払っているので、いくら大阪ドームの使用料が高額といってもバファローズの支出総額は多く見て70億くらいだろう。それに対して年間の赤字額は40億円。
つまりバファローズは収入が支出の半分にも満たない状態で経営をしていることになる。これでは他球団の経営者が赤字額の大きさに驚くのも無理はない。

支出の半分ほどが選手の年俸、大阪ドームの使用料が年10億円ほど、残りの支出の大半は監督、コーチ、球団職員などの人件費だろう。
収入面を短期間で大幅に伸ばすのは難しい。支出を抑えるには高額年俸選手の放出、選手年俸の全体的な抑制、ドームより使用料のずっと安い球場への本拠地移転、職員などの人減らし、その全てがうまくいけば黒字にはならなくても容認できるレベルの赤字額には収まるかもしれない。
しかしそれだけの事をするには、そしてその結果が出てくるまでには時間がかかる。近鉄本社にはその時間がなかった。

それに赤字額が小さければよいというものではない。支出を減らすために人気選手を放出し削れる経費は徹底的に削った結果、広告塔としての魅力が小さくなれば赤字額の許容範囲も小さくなってしまう。
金勘定だけを気にして興行、娯楽としての本質を失えばファンも親会社も喜ばない、何のために存続しているかわからないものになってしまう危険もある。

それともうひとつ見落とされている気がするのは、黒字になればそういう問題がなくなるわけではないということ。
ベイスターズは黒字決算を続けていたのに、赤字になったとたんに身売りすることになった。
カープも黒字を続けているのにFA選手を一切獲得しないなど綱渡りの経営を続けている。
実は選手の年俸の高騰などの理由で、黒字球団でも継続的に資金を投入しないと維持できないのが現状。
タイガースは優勝を狙う補強のために阪神本社に支援してもらう必要があった。
優等生のジャイアンツでさえ、選手の獲得のために読売新聞や日本テレビからの資金に頼っている。
(このため日本テレビの発言力が大きくなり、氏家社長がジャイアンツのことについてコメントする機会が増えていることに気づいている人も多いはず) そうでなくてもグループ会社によるチケットの買い上げや広告費名目での球団への支払いはどこもやっていることで、加盟料や買収費用以外にもこういうコストを払いつづけられる企業でないと球団を持つことはできない。
参考までに2003年の阪神タイガースの決算では、球団の売上高は179億で純益が13億。単純計算すると160億以上の支出があったことになる。
もちろん収入もあるので現金で160億用意しなければいけないというわけではないが、数十億の流動資金を確保していなければやっていけないということだ。

で、最後の球団合併から46年、なぜ今になってここまでプロ野球の経営状態が厳しくなってしまったかというと、誰もがいうように選手の年俸高騰と人気選手のメジャーへの流出が大きな要因。親会社が長期間固定されていたことによる馴れ合いや惰性の経営も原因だろう。
でもね、「選手が欲張るから悪い」といった結論に飛びつくのは短絡的過ぎると思う。
世の中全体が昔に比べれば個人の権利拡大に動いている中で、プロ野球選手だけが「普通の人よりたくさん金を貰っているから」などの理由で昔ながらのルールで我慢しろというのは無理。時代の流れには逆らえない。
いくらFA制度などができてもそれだけで年俸が上がるわけではない。それだけの金を払う球団があるから年俸相場は高騰する。
選手は一種の商品で、買い手がいて初めて値段がつく。
結局そのために経営が苦しくなったということは、その球団は時代に取り残されたということ。
そういう球団を無理矢理延命させようとすると他の球団にもしわ寄せが来て、プロ野球全体が凋落する危険もある。
心情的には2リーグ制12球団を維持して欲しいのだけど、そのためにあまりにも無理をしてさらに状況を悪化させるよりは維持できない球団は涙を飲んで退場してもらった方がプロ野球の健全さを保てるはずだ。
自称今でもブレーブスファンとして、阪急の球団売却はショックだったし悲しかった。でも決断としては間違ってるとは思わなかった。

今回の合併問題はナベツネ主導で進みそう。まあこれはしかたない。
ドラフトや契約更改、選手の移籍の問題などもあるのでシーズン終了までにはある程度結論をまとめる必要がある。
ここでいちゃもんをつけるのはバファローズを主導権争いの道具にしてしまうだけだ。混乱が長引けばプロ野球全体に失望する人がさらに増えて、誰の得にもならないだろう。

こんなことを書くとバファローズファンから見れば「他人事だと思って愛のないこと書きやがって」と思われるかもしれない。
まあ確かに他人事だ。でもやっぱり悲しいんだよ。面白いチームだったし、いまでも面白い選手がいろいろといる。
でも今のバファローズを救うには愛だけじゃ足りない。お金がないとダメなんだ。
せめて合併ではなく買収先があればよかったんだけど…


なんだかうまくまとめることができなかったけど、これだけは言っておきたい。
おまえら不毛な犯人探しはやめろ
どうしてこんな事態になってしまったのか、野次馬なりに理由を探すのはまだいい。
でも「あいつのせいだ」「やつがこんなことをしなければ」なんて話が何になる?
どうせプロ野球について考えるなら「何が問題なのか」の次は「ではどうすればいいのか」だろう。
特定の誰かに責任を押し付けても、それでバファローズが救われるわけでもないしプロ野球が今よりよいものになるわけでもない。

2004-07-03 誰のためのプロ野球?

近鉄合併から始まりあちこちで繰り広げられている一連の議論。今回は近鉄の件は置いといて球界再編、プロ野球はどうあるべきかと話し合われていることで気になったこと。

「球団経営者やオーナーたちはファンのことを無視している」という声もある。まあそうかも。 ただ問題は、ファンの希望が実現することが必ずしもファンのためになるとは限らないということだ。
だいたい文句を言いながらも今のプロ野球でファンを自認する人が、自分が応援してきたチームが消えてしまうことを喜ぶはずがない。
1リーグ制に賛成している人でも、そのために消えるのが自分の応援しているチームだったらそれでも賛成に回る人はどれだけいるだろう?
いることはいるかもしれないけど、それは少数派だろうね。
つまりファンというのは基本的には保守的な考えになりやすい立場だ。1リーグ制に賛成しているファンは、それによって自分の愛しているチームが消えてしまったりどこか遠いところへ移転するようなことは考えてない人が多いだろう。(すべてがそうだとは思ってないけど)

次に地域密着、球団名から親会社名排除、さらに進んで市民球団化、フランチャイズ制の徹底というネタ。
12球団はまだともかく、今のパ・リーグの枠組みを維持したままではかなりの部分を親会社に頼らなければ球団の維持は不可能。
資金的な基盤を地域企業を中心にした連合体に頼るなら、基本的に収支トントン、悪くても年間数億程度の赤字に抑える必要がある。これは日本ではセ・リーグの平均的な経営状態と言えるだろう。
近鉄の年間40億は問題外としても、パの球団はたまに黒字の時はあっても長続きしない。年間十数億の赤字は当たり前の状態だ。
アメリカでは苦しいながらも各地域の球団を維持しているが、マリナーズの任天堂アメリカ/ボーイング、エンゼルスのディズニーランド、パドレスのクアルコム(携帯電話の特許権と基本チップ製造で世界的なメーカー)、ブレーブスのコカ・コーラといった具合に各地に全米規模/世界規模の企業が存在する。(他はよく知らないが、さすがに全球団の地元に巨大企業あるわけではなかったと思う)
日本の地方都市にも大きな企業がないことはないとはいえ、やはりプロ野球球団を支援できるような主要な企業は首都圏に集中しすぎている。
それに市民球団化、フランチャイズ制の徹底のために地域的な競合が起きないように日本全国に球団を配置しようとすれば、12球団では難しい。
地域密着型の球団経営を目標とするなら、1リーグ制とそれに伴う球団数の減少は必須だろう。
12球団のままでやろうとすれば、いずれ脱落するところが出てきてかえって混乱や不安を招くことになる。

プロ野球選手会の大阪近鉄・オリックス合併問題に関する見解と提案(関アレの渦さんに感謝)はわりとがんばっている内容だ。
ただし選手会の立場上、選手枠の縮小に直結する合併や1リーグ制へ向けての球団統廃合は絶対に認められない、そこを出発点にしていることに注意する必要がある。
この内容で気になるのが、

日本プロ野球選手会は真の改革のためであれば、痛みを負うことも当然と考えています。

という一文。具体的にどのような「痛み」を負うつもりなのかはまったく書かれていない。
まあシーズン中で選手会としてきちんと詰めた話をするのは難しいので、下手に具体的なことは書けない。「痛みを負う」と表明しただけでもかなり踏み込んだ内容と言えるだろう。
それにここで具体策を出せば事実上の同意が得られたとして既成事実になってしまう恐れがある。だから選手会は「真の改革のためであれば」という前提、つまり選手会だけでなく球団側もそれなりの痛みを負うのであれば、と釘を刺す必要があった。選手側の一方的な負担であれば受け入れるわけにはいかないのだ。
ただし先に書いたように、選手会の言う「改革」には球団数の縮小は当然含まれない。
球団数の維持のための「改革」なら可能な限り協力する、改革という言葉を使っているがその内容は以前から選手会が主張していたものも多く、保守的だ。
自分たちのクビに関わることだから当然といえば当然の話だが。

「ヨミウリ(ナベツネ)のせいで…」
確かに問題は多い。プロ野球界をいろいろと引っ掻き回してきた。
でもそうでなかったとしたら、いまよりよくなっているという保証がどこにあるだろう?
あちこちで言われているように、視聴率の低迷などで翳りが見えてきたことによる危機感が1リーグ制推進の強い動機になっているのは間違いない。
しかし今でもジャイアンツは非常に優位な位置を占めていることを考えると、球界再編というのはなかなかリスクの大きい作戦だ。
だからこそ再編の主導権を握って自分たちに不利な方向へ進まないようにしようとしているわけだが、そのためにジャイアンツが背負おうとしているリスクやある程度は自ら犠牲を払う覚悟があることを軽視している人が多いような。
今まであげた中では最も改革に積極的と言えるが、その一方でジャイアンツの優位な立場を維持するための「改革」という見方もできる。

別にファンや選手会は保守的でよくないとかジャイアンツを改革の旗手として持ち上げたいわけじゃない。
1リーグと2リーグ(他の問題もあるけどわかりやすいところで)どちらの選択をしても、ある程度のリスクや犠牲はある。
1リーグ制に移行(というか球団数縮小)したときのメリットは

その一方でデメリットも決して小さくはない。

なんとなく1リーグ制支持寄りになってしまった気がするけど、長いことパを応援してきたのだし、できる限りパ・リーグには存続して欲しい。
でもそこには今のプロ野球の問題をそのまま残してしまったり、現状維持にこだわってさらにひどい歪みを生んでしまうのではないかという不安もある。
選手会の提案している内容は十分に検討に値する内容だと思う。でもそれらは1リーグだろうが2リーグだろうがいずれ何とかしなければいけない問題で、2リーグ制の延命策としてだけ考えるものではない気がする。
2リーグ存続の手段として出してくることが間違っているというわけではないけど。(わかりにくいこと書いてスマン)

渦さんが7月2日のところで書いている
豊田サン、8チームがいい理由、詳しく説明してくださいヨ…
という言葉も理解できるけど、同時に12球団でなければいけないならその理由も考える必要がある。
8とか12という数字だけの議論は市場規模などの数字だけを見てファンが見えていない危険はあるけど、一方で「ファンの声」が持っている危険性にも気づいて欲しい。
今、声をあげているのは今のプロ野球ファンだけだ。
10年後、20年後、100年後の未来のファンのためにより楽しめる、より熱くなれるプロ野球を残すためにはどうすればいいのか?
ここまで書いといてズルいのは承知の上で、正直わからない。
でも少なくとも球団経営者の一部は、未来のファンのことも意識してるんですよ。大切な金づるだから(笑)


あと、近鉄買収に名乗りを上げたライブドア。
資金力や財務状況から「プロ野球をバカにするな」と思うし、以前から聞いている噂などからいってまるで信用できない。
でも、保持している現金や球団経営に見せる意欲(ちょっと疑問符付き)を考えると魅力的なのは確か。
筆頭株主/オーナーとして出てくるのは猛烈にやめてくれと言いたいが、20%程度の出資でバックアップするということならかなり悪くない話だと思う。
まあそれなりに名前は売ったことだし、もしも買収の目的がライブドア会員サービスのキラーコンテンツとしてバファローズを手に入れたいのなら、筆頭でなくても主要株主になればかなりの権利を確保できるはずだし、「売名行為」という非難もきちんと否定できるので悪くないと思うのだけど。
ただ、最初に名乗りを上げたことを考えると露出の圧倒的に少ない2番手に甘んじるかどうかわからないけど。球団経営にも積極的に関わっていく姿勢を見せていたしねえ。

2004-07-10 渡辺・堤の思惑

7月8日にジャイアンツ・渡辺とライオンズ・堤の両オーナーが記者会見で明らかにした三軍構想は、1リーグ制が前提になっているとはいえそう悪くないものだと思う。

これが支配化選手枠の拡大につながることはわかりやすい。つまり球団数の減少によってプロ野球全体での選手層が薄くなることを緩和できる。
それどころか少なめに見積もっても一、二、三軍合わせて90人程度は必要なので、12球団×70=840人から10球団×90=900人となるので数字の上では増えることになる。
一軍で試合に出られる人数はどうしても減るので、同列には扱えないけど。
それでも三軍でも試合を行うことで、支配下選手が増えても試合に出られる機会はむしろ増えることは重要だ。
社会人と同格で争う三軍がプロと呼べる立場かどうかは微妙だけど。

二軍、三軍はそれぞれ本拠地を別にすることで、一軍と合わせて30チームで47都道府県の半分以上をカバーできる。
そして一軍では無理でも二軍、三軍なら経営規模からいって地元優先、地域密着の経営をしやすい。
独立採算制にすることで実質的には市民球団として活動することもできるかもしれない。

三軍は社会人とリーグ戦を行うこと、社会人野球側の反応も悪くないことも注目に値する。
今でも社会人とプロ二軍との試合は行われているが、あくまで練習試合。リーグ戦という形で直接力量を比較されるのとはかなりの違いがある。
スカウト活動としても社会人選手がプロで通用するのかを見極め易いし、社会人の選手にとっては直接アピールするいい機会になる。逆に言えばプロ側の底辺の選手は危機感を持つことになるが、ろくに試合に出られないまま解雇されるよりは納得ができるだろう。
そしてプロ・アマ間の垣根が低くなることも期待できる。今はまだ元プロの選手がアマのチームに所属するには制約が多く、プロを首になったら野球をする場がほとんどなくなることがプロへ行くという選択をリスクの大きいものにしているのだ。
一度首になってもすぐに社会人で雇ってもらえれば、プロへ復帰するチャンスがずっと増えることも見逃せない。山本 和範のようにバッティングセンターで働きながらプロに復帰、といった奇跡に頼らなくてもいい。

社会人との交流という案は堤が出している。
元JOC会長で以前は名門アマチームのプリンスホテルを傘下に持っていたので人脈もある。
アマ側との交流では堤が中心になるのは間違いないだろう。

個人的にはプロとアマの断絶解消はリーグや球団をいくつにするかなんてことよりずっと大切だと思っている。
ただ時間をかけてやることなので注目度が低くなってしまうのはしかたないけど。

さて1リーグ制。あくまでも皮算用でしかないけれど、もしもその結果として経営内容が改善されれば、それはジャイアンツ戦への依存度を減らす効果があるかもしれない。
勘違いしないでほしいけど、ジャイアンツ戦に依存しないで済むなんて考えてるわけではない。今のように巨人戦に収入の多くを依存している状態よりは多少は収入源が分散され、相対的に見てジャイアンツに偏りすぎた力関係が変わってくる可能性があるということ。それでもジャイアンツがトップの位置を占めることには変わりないだろう。
その「相対的に」減った力が他球団に均等にいきわたるなんてことはない。それによって得られる権力は西武に回る分が一番多いはず。西武は同じリーグであれば中日や阪神より下に来るとは考えにくい。たぶん堤の狙いはそこにある。(戦力や順位じゃなくてオーナー同士の力関係の話ですよ)
西武に次いで権力比率を上げやすいのはオリックス。この2球団が1リーグ化に積極的なのもよくわかりますね。

では渡辺というか読売はなぜ今の圧倒的な地位を失いかねないことを推進するのか?
前にも書いたように球団自体は黒字でも支出は毎年確実に増えている。読売新聞や日本テレビからの資金投入もそれに連動して増えているはず。(未確認)
視聴率の低迷などを考えれば同じペースで金をつぎ込むことは難しく、まだ数字には表れていないけど今後の資金繰りの見通しはそんなには明るくないのだと思う。
もしも1リーグ化によって他球団の経営環境が改善しプロ野球全体の活性化につながるのなら、プロ野球内部での割合としては力を減らしてもプロ野球というパイ全体が大きくなることで今と同等かそれ以上の力を持てる可能性がある。親会社と球団のパワーバランスや企業グループ全体の力としてはより強化できる道なのかもしれない。
そういう意味で渡辺がこの案を持ち出したのは、三軍の設立とそれを各地方に分散させることはプロ野球が押さえていなかった空白地帯を少なくし、市場の拡大につながることを狙っているのは間違いない。
もちろん権力の相対的な低下についても甘んじて受け入れるのではなく、維持するために可能な限りの努力はするだろうし、それがうまくいかなくても再編の主導権を握ることで最悪の場合でも当分は盟主の座から転がり落ちることはないという計算があってのことだろう。
堤の方もプロ野球の力関係としてはどんなにうまくいっても読売と同等の地位が精一杯という認識だと思う。

まあこんな感じでお互いに最終的な思惑は微妙に違うことは承知の上での呉越同舟ではないかなと。
プロ野球の諸悪の根源が読売巨人軍だと思うなら、1リーグ制に賭けてみるという選択肢もありますよ?(成功するかはわからないけど)
だいたい12球団維持で読売の影響力を減らす手段なんてほとんどなさそうだし。


それから堤の言ってた2つ目の合併球団。
発言にあったように必ずしもライオンズが絡むとは考えていないと思う。ただ他がまとまらなかったらライオンズが他と合併することも想定のうちということで。
んで、その場合に狙っているところはファイターズが有力だろう。
大手私鉄グループは必ず不動産開発部門を持っているが、その中でも西武はグループの中核企業のひとつとして国土計画を抱え、リゾート開発には実績があり今も力を入れている。北海道はかなりおいしい。
ファイターズが「合併など考えていない」というのは北海道に移転したばかりで、すぐに出て行くのは明白な裏切り行為となりイメージ的にも最悪。逆に言えば北海道に残れるなら西武から出してくる条件が満足できるものなら合併の可能性はなくはない。
ライオンズは西武ドームができて間もないし、親会社の沿線住民から離れてしまうのはイメージ的にマイナスだが、それを緩和できそうな要素がひとつある。
ブルーウェーブとバファローズの合併で期限付きとはいえダブルフランチャイズが認められそうな状況だということだ。
前例があれば認められる可能性はかなり高い。というか残っている球団は地域的に競合しているところはないので、ブルーウェーブとバファローズを認めたら認めないわけにはいかないだろう。
そして二軍、三軍の地方分散が実現すればたぶんそれぞれフランチャイズ権を持つことになる。そうなれば二軍の本拠地を西武ドームにすれば地元への顔も立つ。
裏を返せば二軍、三軍のフランチャイズは10球団化への抵抗を減らす材料としても使えるわけだ。

でも気をつけよう。日本各地を30のチームが押さえるということは、それ以上球団が増える余地はほとんど残されていない。
たとえ加盟料を撤廃したとしても、10球団でプロ野球が盛り返して市場的には球団増加できる余力ができても、フランチャイズに阻まれてとても一軍の経営は成り立ちそうにない場所しか残されていないのだ。
まあ新規参入のために二軍か三軍の本拠地を移転してフランチャイズを明け渡してくれるところがあればなんとかなるかもしれないけど。
地元としても二軍よりは一軍のチームの方が喜ぶ人も多いだろうしね。

2004-07-11 フレッシュオールスター2004

初めてフレッシュオールスターを見ました。スタンドから。
でも10日の本番オールスターは忘れてた…

ファーム12球団旗
クリックすると拡大(要JavaScript)

試合前には関西のスポーツ用品店チェーンがスポンサーになって、子供向けのベースボールクリニックが行われた。
見た感じ、年齢層も小学1年生ぐらいから中学生まで幅広い。
選手がノックしたりしている
クリックすると拡大(要JavaScript)

最後にはみんな挨拶してから帰るのだけど、鳥谷は握手責めにあっていた。やはり場所が大阪ドームということもあって1番人気。

試合が始まる前から気になったのが、大阪ドームなのにウエスタンが先攻でビジターのユニフォーム。それなのに1塁側ベンチ。
フレッシュオールスターはいつもこうなの?

こういうのは試合の勝ち負けよりもどんな選手がどんなプレーをするかを見る方がおもしろい。
で、まずはウエスタン先発の馬原(H)。この試合で唯一150km/hオーバーの球を何度も投げていてスピード的には明らかに別格だったけど内容は最悪。
青木(YS)に三塁打を打たれたのはともかく、そのあと打者二人に連続死球。
ぶつけたことが悪いんじゃない。ストライクゾーンの球をことごとくファウルにされて、苦し紛れの内角高目が当たってしまったようだ。全体的に高めの球しかこなかった。
岩館に2点タイムリーを打たれた後は連続三振で切り抜けるあたり、球は速いんだけどそれだけという感じ。
キャッチャーがいつもと違うという事情もあったろうけど、1軍で5試合も先発している投手にしては情けない内容。

次に出てきた筒井(T)。いきなり先頭打者の矢野(G)に本塁打を打たれる。
続く打者二人をアウトにした後、青木(YS)が二塁打。次の吉村(SS)にまた本塁打。
次の小谷野(F)は前の打席に続いてまた死球をぶつけられ、その次の岩館(G)も前の打席同様にタイムリー。
結局1イニング4失点のさんざんな内容。

次のウエスタンの投手は川岸(D)。2イニングで1失点。やっと落ち着いてくる。
ウエスタンの6人の投手のうち、無失点で切り抜けたのは大島(C)の2イニングと柴田(SK)の1イニングだけ。
最後の朝井(Bu)も黒瀬(L)の本塁打を含む3失点。
ウエスタンは野手もあまり見せ場がなく、ヒットを打ったのは4人だけでイースタンに完封リレーを許す。
まあ鳥谷(T)が3打数1安打1四球でギリギリ面目を保ったのとウエスタンで唯一2本のヒットを打った嶋村(SK)くらいか。
いいところのなかったウエスタンの中ではひいき目抜きでも柴田、嶋村のサーパス勢がましだったけど、やっぱりイースタン選手の活躍の方が目を引いた。

まずは最優秀選手の青木(YS)。三塁打、二塁打、単打、(遊ゴ)、単打の4安打。
単打2本は両方タイムリーヒットだし、盗塁も2つ決めるなど大活躍。
センターを守っていることもあって、ヒーローインタビューでも言われていたようにかつてジュニアオールスターで最優秀選手に選ばれたときのイチローのようだった。
早稲田卒の新人は鳥谷だけじゃないぜ。(由田はまだまだ…)

それから先発投手の須永(F)。3イニングを2安打無失点。優秀選手賞。
ウエスタン先発の馬原とは対照的に球が遅い。全球見たわけじゃないけど最速でも139km/h。
それなのにどこがよかったかというと、ストライクを取りにいける変化球を持っている。
しかも球速から判断して、複数の変化球でストライクが取れる。
高校時代は最速144km/h出ていたらしいので、スピードよりコントロール重視で投げてたのかもしれないけど、やっぱり変化球主体の投手だと思う。
カーブが100km/h以下になればスピードは今のままでも通用するんじゃないだろうか?
さすがに高卒新人ながら1軍でも投げているだけの事はある。(でも2試合で8イニング10失点か…)
個人的には将来の期待度は青木以上ですよ。

他に優秀選手賞は、3打数2安打3打点の岩館(G)、3打数3安打2死球と全打席出塁した小谷野(F)。
ウエスタンからは2イニングを1奪三振無失点の大島。柴田が1イニングで2奪三振無失点と三振数では上だけど、やっぱり長いイニングを投げた方が評価されたということだろう。
本塁打を打った3人が入っていないことに納得できない人もいるかもしれないけど、ワンサイドゲームだったこともあってこちらも試合全体で活躍した方が優先された。

あと、先発ショートの尾崎(F)。みんな裾がくるぶしまであるパンツだったのに一人だけ膝下までストッキングを見せていた。
ノーヒットだったけど、セカンド西岡(M)からの難しい送球を捌いてこの試合唯一の併殺プレー。
いいプレーだった。

2004-11-12 楽天の捕手とか

※ここでは基本的にチーム名はカタカナ名で書いてきたんだけど、オリ近をバファローズと呼ぶのもゴールデンイーグルスという名前にもまだ抵抗があるので「オリ近」「楽天」で書きます。

オリ近 - 楽天の分配トレード、投手は見劣りするとはいえ楽天もそれなりに実績がある選手を確保できたけど、捕手の日高、的山は案の定プロテクト。
もちろん最低限の投手を確保するのが最優先なんだけど、どのチームでも1軍で実戦経験がある捕手というのは限られている。オリ近がプロテクトのも当然で、藤井を獲れただけでもよかった方かも。
まあそのあたりは楽天も予想していたようで、分配ドラフト前に横浜から中村武志を無償トレードで獲得している。(結果的に中村は楽天入団が確定した選手第一号)

ところでこの分配ドラフトに先立って三輪が任意引退してオリ近のコーチ就任が内定しているんだけど、こうなるとプロテクトされていないのに楽天は獲得できないことになる。
見方によっては楽天に獲られるくらいならコーチにして囲い込み…
いや本人にその意思がなければ無理だし、今の三輪の肩では楽天でもきついと思うけど。

ついでに中村の無償トレードについて。
すでに相川と鶴岡が育ってきたとはいえ、中村クラスだとタダでくれてやるのは丸損っぽい。
んでも「推定1億円を超える高額年俸がネックとなった」という記事もあったように、横浜にとっては選手の引き取り先があれば直接の見返りがなくてもその年俸を払わなくて済むだけでも金銭的にはプラスになるということらしい。
似たような例としてはブレーブスからホークスへ出戻り移籍した門田というのもある。(門田の交換要員としてホークスに行った3選手はほとんど役に立たなかったし)
もちろんホークスからジャイアンツへ移籍した小久保にもそういう面があったわけだけど、まだ年齢が若いのでそれだけの理由で無償というのは納得がいかないんだよなぁ。